公債権とは、地方公共団体が有する金銭債権のうち、公法上の原因に基づいて発生する債権をいう。
自治体が住民等に対して持つお金の請求権は、すべて同じ手続で回収できるわけではない。公債権は、税・分担金・負担金・使用料・手数料・保育料など公法上の原因に基づき発生する金銭債権であり、契約など私法上の原因に基づく私債権と区別される。公債権はさらに、地方税の例により滞納処分ができる強制徴収公債権(地方税・国民健康保険料・分担金・下水道使用料の一部など)と、滞納処分ができず民事手続によって回収する非強制徴収公債権(生活保護費の返還金・公立保育料の一部など)に分かれる。強制徴収公債権であれば裁判所の判決を経ずに督促・差押えに進めるのに対し、非強制徴収公債権は支払督促や訴訟といった司法手続を要する。債権の発生原因と強制徴収の可否を取り違えると違法な差押えや時効管理の誤りにつながるため、債権管理の出発点としてどの類型に当たるかの整理が欠かせない。
強制徴収公債権と非強制徴収公債権
公債権は、滞納処分による強制徴収ができるか否かで二つに分かれる。強制徴収公債権は、地方税のほか、国民健康保険料、介護保険料、分担金、下水道使用料、保育料の一部など、個別の法律が「地方税の滞納処分の例により処分することができる」と定める債権であり、督促を前置すれば裁判所の判決を経ずに差押え・換価・配当へ進める。これに対し非強制徴収公債権は、生活保護費の返還金や公立学校の授業料など、自力執行の根拠を欠く公債権であり、回収には支払督促や民事訴訟といった司法手続を要する。どちらに当たるかは根拠法令の定めで決まり、自治体が任意に選べるものではない。強制徴収の可否を誤ると、本来できない差押えを行って違法となったり、逆に強制徴収できる債権を漫然と放置して時効を完成させたりする。
消滅時効と不納欠損
公債権の消滅時効は、地方自治法により原則5年とされ、援用を要せず時効の完成によって当然に消滅する。これは、援用がなければ消滅しない私債権との大きな違いであり、公債権は時効が完成すれば債務者の主張を待たずに不納欠損として帳簿から落とすことになる。強制徴収公債権では督促や差押えに時効の更新(旧称は中断)の効力があり、徴収手続を進めることで時効の進行をリセットできる。一方、時効管理を怠れば徴収可能な債権でも時効消滅により回収不能となるため、公債権の管理では督促・差押え等の手続の時期を時効の起算点との関係で正確に押さえる必要がある。債権の種類ごとに時効期間と援用の要否が異なる点が、債権管理条例の整備が進む背景にある。
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