国民保護計画とは、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第112号、国民保護法)第35条(都道府県)および第39条(市区町村)に基づき、自治体が策定する武力攻撃等への対処計画である。
2004年の国民保護法制定により、従来の防衛・安全保障分野に加え、地方自治体が「国民保護」の実施主体として位置付けられた。都道府県知事および市区町村長は、内閣総理大臣・都道府県知事の指示を受け、住民の避難・救援・武力攻撃災害への対処を計画する義務を負う。
地域防災計画との違い
地域防災計画が自然災害・事故災害を主な対象とするのに対し、国民保護計画は武力攻撃(着上陸侵攻・ゲリラ・弾道ミサイル攻撃等)・緊急対処事態(大規模テロ等)を想定する。「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」(武力攻撃事態法)と連動して機能する。 国民保護計画は内閣官房のひな形(「市町村国民保護モデル計画」平成17年)を参考に各自治体が作成する。地域防災計画との最大の違いは「事態対処法制」との連動で、武力攻撃事態等における国の指示権が地域防災計画にはない形で組み込まれている点だ。北朝鮮の弾道ミサイル発射事案(令和5年以降も繰り返し発生)を受け、Jアラート連携訓練と計画の見直しが全国的に推進されている。
計画の主な内容と自治体の役割
市区町村国民保護計画には①警報・避難指示の伝達体制、②住民避難の誘導・輸送、③被災者の救援、④武力攻撃災害への対処、⑤他機関との連携(自衛隊・警察・消防・医療機関)が盛り込まれる。国民保護法第35条第6項は計画を住民に公表することを義務付けており、自治体ウェブサイト等での公開が必要。近年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、弾道ミサイル対応訓練との連動が強調されている。 国民保護法第35条第1項は都道府県計画に①武力攻撃災害への対処・②住民避難の誘導・③被災者の救援・④炊き出し等の生活支援が盛り込まれなければならないと定める。市区町村は都道府県計画と整合する形で市区町村国民保護計画を策定し、避難実施要領の策定(同法第61条)も市区町村の責務となる。令和6年能登半島地震での住民避難対応の教訓は、国民保護計画の住民避難部分の見直しにも影響を与えている。
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