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ジチテン

森林法

読み:しんりんほう

意味

森林法とは、森林計画制度や保安林制度、林地開発許可などを定め、森林の保続培養と森林生産力の増進を図る森林行政の基本法である(昭和26年法律第249号)。市町村にとっては伐採届の受理、市町村森林整備計画の策定、林地台帳の整備の根拠法となる。

庁舎に届く「立木を伐採したい」という届出も、太陽光発電のための山林開発の相談も、たどれば一本の法律に行き着く。1951年(昭和26年)制定の本法は、国の全国森林計画から都道府県の地域森林計画、市町村森林整備計画へ連なる計画の体系で民有林の施業を方向付け、保安林と林地開発許可という二つの規制で森林の開発を抑える構造を持つ。都市計画法農地法農振法が平地の土地利用を受け持つのに対し、本法は森林地域の土地利用を受け持つ国土利用の一角を成す。市町村の窓口業務として最も身近なのは伐採及び伐採後の造林の届出の受理で、2016年改正で義務付けられた林地台帳の整備、森林経営管理法に基づく経営管理の仲介とあわせて市町村林務の柱を成す。所管は林野庁である。

三層の計画と伐採届——市町村が森林所有者と接する接点

森林計画制度は、国の全国森林計画、都道府県の地域森林計画、市町村が5年ごとに10年を一期として定める市町村森林整備計画の三層構造である。地域森林計画の対象となっている民有林で立木を伐採する者は、伐採及び伐採後の造林の届出(森林法第10条の8)を市町村長へ事前に提出しなければならず、市町村は市町村森林整備計画への適合を確認し、不適合であれば変更命令などで是正させる。無届伐採は罰則の対象で、伐採地の把握が再造林の確保と災害防止の出発点になるため、届出の受理は単なる収受ではなく現地照合を伴う審査事務である。2016年(平成28年)の改正では伐採後の造林の状況報告が加わり、切りっぱなしの放置林を許さない仕組みへ強化された。市町村森林整備計画は伐採規制の物差しであると同時に、ゾーニングで水源涵養や木材生産という機能区分を示す市町村林政の基本設計図でもある。

保安林と林地開発許可——開発規制の二本柱

水源の涵養や土砂流出の防備など公益目的で指定される保安林は全国の森林面積の約半分を占め、指定中は立木の伐採や土地の形質変更が許可制となり、転用は指定解除の手続を踏まない限りできない。保安林以外の民有林でも、地域森林計画の対象であれば1ヘクタールを超える開発行為に都道府県知事の林地開発許可が必要で、許可にあたり知事は市町村長の意見を聴く。太陽光発電設備の設置を目的とする開発は山林の乱開発が相次いだことから、2023年4月以降、0.5ヘクタール超に許可の対象が引き下げられた。市町村は許可権者ではないものの、意見照会への回答、地元調整、無許可開発の通報窓口として規制の最前線に立つことが多く、再エネ施設と森林保全の摩擦が強い地域では独自の条例で上乗せの調整手続を設ける例もある。

林地台帳——「誰の山か分からない」への装置

相続未登記などで所有者の分からない森林が施業集約の壁になってきたことから、2016年改正で市町村に林地台帳と林地台帳地図の整備が義務付けられ、2019年度から全市町村で運用されている。台帳には所有者の氏名・住所、森林の所在、境界測量の実施状況などを記載し、固定資産課税台帳や登記情報を内部利用して更新できる特例が置かれた点が画期である。整備された情報は意欲と能力のある林業経営者へ提供され、森林経営管理法に基づく経営管理権の設定や間伐の集約化の基礎資料になる。ただし精度は市町村によって差が大きく、地籍調査が進んでいない山間部では境界不明のレコードが残る。台帳は完成品ではなく、森林環境譲与税も充てながら磨き続ける更新型のデータベースとして運用するのが実態である。

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