都道府県とは、市町村を包括する広域の地方公共団体であり、都・道・府・県の総称である(地方自治法第2条第5項)。全国に1都1道2府43県の47団体が置かれている。
保健所も、高校も、警察も、一級河川の管理も——市町村の窓口では完結しない行政の受け皿として、もう一層の自治体がある。地方自治法は都道府県の事務を、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの、規模や性質の面で一般の市町村が処理するには不向きなもの(補完事務)の3類型で示す(第2条第5項)。2000年施行の地方分権一括法で機関委任事務が廃止されるまでは国の出先のように働く場面が大きかったが、現在は市町村と上下関係のない対等な自治体であり、国や都道府県の関与は法律の根拠に基づくものに限られる。府と県に法制度上の違いはなく、道の名称は開拓行政の沿革によるもので固有の特例はわずかである。これに対し都だけは特別区とセットの大都市制度を持ち、特別区の区域では市町村の事務の一部を都が処理する。条例による事務処理の特例(第252条の17の2)により、都道府県の事務を市町村へ移譲することもできる。
三類型の事務——守備範囲は市町村の規模で伸縮する
広域事務の典型は治山治水、広域防災、産業政策や観光振興であり、連絡調整事務は市町村間の調整や国との連絡、補完事務は高校の設置、保健所(保健所設置市以外の区域)、児童相談所などである。配分の基底には、住民に身近な事務はまず市町村が担うという市町村優先の原則があり、都道府県は包括的に補完する側に立つ。だからこそ、区域内の市が指定都市や中核市に移行すれば保健衛生や福祉、環境などの事務が市へ移り、都道府県が直接担う範囲は縮む。逆に小規模町村が大半を占める県では補完の比重が増す。都道府県の仕事は固定的なメニューではなく、域内市町村の体力に応じて伸縮する相対的なものだという理解が、権限移譲や広域連携の議論の前提になる。
都・道・府・県の違い——名称の沿革と都制という例外
府と県は明治の府県制以来の名称の違いにすぎず、権能に差はない。道は北海道の開拓行政に由来する名称で、警察組織に方面本部制が認められるなどの細部を除けば府県と同格である。例外は都であり、特別区の存する区域では消防、上下水道、都市計画の一部など本来は市町村が担う事務を都が処理し、その代わり調整税等を財源とする都区財政調整制度で特別区に財源を配分する。この都制は東京固有の枠組みにとどまらず、大都市地域における特別区の設置に関する法律(平成24年法律第80号)により、人口200万以上の指定都市等の区域で特別区を設置して移行する道が開かれている。大阪市を廃止して特別区を置くいわゆる大阪都構想は、2015年と2020年の住民投票でいずれも僅差で否決された。
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