否決とは、議会に付された議案や動議について、採決の結果、賛成者が所定の数に達せず、議会の意思として成立させないと決することをいう。
提出した議案が「否決された」場合、その後の事務は原案の執行に進めず、再提出や代替案の検討を迫られる。否決は、議題となった議案を採決にかけた結果、可とする者が所定の数に達せず、議会がその案を承認しないと確定する議決の結果である。地方公共団体の議会の議事は出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長が決する(地方自治法第116条)のが原則で、この多数に届かなければ否決となる。
否決には、賛成が反対を下回って成立する場合だけでなく、特別多数決を要する議案で賛成が反対を上回っても所定数に届かず成立する場合も含まれる。例えば議員の除名は出席議員の4分の3以上の同意を要するため、過半数の賛成があっても4分の3に満たなければ除名は否決となる。可否同数で議長が否と決した場合(議長裁決)も否決である。
否決された議案は、同一会期中に再び審議の対象とすることはできない(一事不再議の原則)。ただし会期が改まれば再提出は可能で、長の予算案や重要条例案が否決された場合、長は再議に付すなどの対応をとることがある。決算の認定案が否決された不認定は、法的には決算の効力に影響しないが、長は議会への説明や必要な措置の公表を求められる。否決の事実とその対象は会議録や議決結果通知に明記し、長や関係機関へ正確に伝える。
否決と継続審査・撤回の区別
採決の結果が「否決」となるのは、議会がその案を承認しないと意思決定した場合に限られる。これと混同しやすいのが、結論を出さずに次会期以降へ送る継続審査と、提出者が採決前に議案を取り下げる撤回である。継続審査は委員会等が会期内に審査を終えられないとき議決により次会期へ付託を継続するもので、案そのものは生きており否決ではない。撤回は提出者が議会の許可を得て議案を引き上げる行為で、採決に至らないため可決・否決のいずれの結果も生じない。したがって一つの議案の帰結は、可決・否決・修正可決・継続審査・撤回などに分かれ、会議録や議決結果通知ではこの別を正確に記録する。否決と継続審査を取り違えると、一事不再議による同一会期内の再提出可否の判断を誤るため、議事担当は採決の意味を厳密に確認する必要がある。
予算案・条例案が否決された場合の実務対応
長が提出した予算案や条例案が否決されると、自治体運営に直結するため特別の対応が必要になる。長は議会の議決に異議があるときは理由を示して再議に付すことができ(地方自治法第176条)、再議でも同じ結論なら議決は確定する。予算を伴う議案が成立しないと事業執行や歳出ができないため、暫定予算の編成や事業の見直しを迫られることもある。長と議会の対立が深まれば、長の不信任議決や議会の解散といった二元代表制の調整手段に発展する場合もある。否決は単なる一票の結果にとどまらず、その後の予算執行・再議・政治的対応の起点となるため、否決の理由や審議経過を会議録に残し、関係部局と共有しておくことが事務上重要である。
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