森林組合とは、森林組合法に基づき森林所有者が組織する協同組合である(昭和53年法律第36号)。組合員から委託を受けた造林や間伐などの施業と、林産物の販売・加工を主な事業とする。
人工林の手入れは数十年単位の仕事だが、小規模な所有者が自力で造林や間伐を続けることは現実には難しい。森林組合は所有者の出資でつくる協同組合として施業を引き受け、日本の民有林整備の実働部隊となってきた組織で、全国に約600組合がある。市町村の林務行政にとっては、間伐や路網整備の委託先であり、森林経営管理制度で経営管理を再委託する「意欲と能力のある林業経営者」の代表格であり、森林所有者情報の照会先でもあるという形で、ほぼ全ての林務事業で顔を合わせる相手になる。農協と異なり信用事業や共済事業は営めず、収益の柱は受託施業と素材生産・販売に置かれる。都道府県単位の森林組合連合会と全国森林組合連合会(全森連)が系統組織を成し、苗木の調達や木材の共販で個々の組合を補完する。
森林経営管理制度の担い手——市町村との新しい関係
2019年度に始まった森林経営管理制度は、手入れの行き届かない森林の経営管理を市町村が所有者から預かり、林業経営に適した森林を「意欲と能力のある林業経営者」へつなぐ仕組みで、都道府県が公表する経営者のリストには各地の森林組合が数多く登録されている。市町村にとって森林組合は、所有者への意向調査の協力者、経営管理実施権の受け手、森林環境譲与税を財源とする間伐や境界明確化の受託者という三つの顔で関わる存在になった。一方で組合の現業職員の高齢化と担い手不足は深刻で、受け皿となる体制の地域差が制度の進捗を左右している。市町村が制度設計の段階から組合の施業能力や雇用状況を把握しておかないと、預かった森林の再委託先が見つからない「塩漬け」が生じるため、林務担当と組合の日常的な情報共有が制度運用の生命線になる。
協同組合としての特質——農協との違い
同じ協同組合でも、森林組合は森林組合法で事業範囲が森林の経営受託、施業の請負、林産物の販売・購買などに限定され、農協のような貯金の受入れ(信用事業)は認められていない。収益が受託施業と素材生産に依存するため木材価格の変動の影響を受けやすく、合併による経営基盤の強化が長く政策課題となってきた。組合員は森林所有者であり、相続で山林を引き継いだ都市部の不在村所有者も組合員になりうるため、組合が所有者と地域をつなぐ事実上唯一の接点になっている地域も珍しくない。市町村の窓口に寄せられる「親の山がどこにあるか分からない」という相談は、登記や林地台帳とあわせて地元の森林組合への照会で手がかりが得られることが多く、行政にとって組合は施業の受託者であると同時に森林所有者情報のハブでもある。
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