選挙で選ばれた議員が任期途中で住民の信頼を失っても、次の選挙まで交代を待つしかなければ住民自治は機能しない。議員解職請求は、特定の議員一人を任期中に職から外す手段として地方自治法第80条以下に置かれた直接請求である。手続は、選挙権を有する者が原則として有権者総数の3分の1以上の連署を集め、その代表者が選挙管理委員会に請求することから始まる。選管が署名審査を経て請求を受理すると住民投票が行われ、有効投票の過半数が同意すれば当該議員は失職する。一般にリコールと呼ばれるもののうち、対象を議員個人とする類型がこれにあたり、議会全体を対象とする解散請求とは区別される。署名要件は有権者総数が40万を超える部分で緩和され、選管は署名簿の縦覧や異議申立ての処理など一連の事務を担う。
議員解職請求が成立するまでの手続
議員解職請求は、対象議員の選挙区内の有権者を母数として署名を集める点に特徴がある。市町村全体ではなく、その議員を選んだ選挙区の選挙権者総数の3分の1以上が原則の要件となる。代表者が選挙管理委員会に請求書と署名簿を提出すると、選管は署名の有効性を審査し、縦覧期間を設けて有権者からの異議申立てを受け付ける。有効署名数が法定数を満たすことが確認されると、選管は住民投票(解職投票)の期日を定めて告示する。投票で有効投票総数の過半数が解職に同意すれば、その時点で議員は職を失う。署名収集に使える期間は市町村で2か月以内など法定されており、短期間に高い法定数を集めきれるかが成否を分ける。
長・主要公務員の解職請求との違い
同じ解職請求でも、対象が誰かによって最終判断の主体が分かれる。議員と首長は選挙で住民が直接選んだ公職であるため、解職もまた住民投票という住民の直接判断に委ねられる。これに対し、副知事・副市町村長・選挙管理委員・監査委員などの主要公務員は住民が直接選んだわけではないため、解職の可否は住民投票ではなく議会の議決で決せられる。議員解職請求は前者に属し、署名の段階こそ手続が似ているが、住民投票という出口を持つ点が主要公務員解職請求と決定的に異なる。就任後または前回の解職投票後の一定期間(議員は原則1年間)は請求できない制限も置かれ、地位の安定と濫用防止の均衡が図られている。
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