副知事や監査委員のように選挙ではなく任命で就く職にも、住民が任期途中で職を問い直す道が用意されている。主要公務員解職請求は、選挙権を有する者が原則として有権者総数の3分の1以上の連署を集め、代表者が首長に対して解職を請求する直接請求である(地方自治法第86条)。議員や首長の解職請求と決定的に異なるのは、最終判断が住民投票ではなく議会の議決で下される点にある。請求を受けた首長が議会に付議し、議員の3分の2以上が出席する会議で4分の3以上が同意すれば、当該職員は失職する。これは、主要公務員が住民の直接選挙で選ばれたわけではなく、議会の同意などを経て任命された職であることに対応した手続である。対象は副知事・副市町村長・選挙管理委員・監査委員・公安委員会の委員などに及び、選管や首長が手続の各段階で事務を担う。
議会の議決で失職する仕組み
主要公務員解職請求は、署名を集めて発議するところまでは議員・長の解職請求と似ているが、出口がまったく異なる。署名の提出先は選挙管理委員会ではなく首長であり、有権者総数の原則3分の1以上の連署を添えて首長に解職を請求する。首長はこれを議会に付議し、議会が議決して可否を決める。可決の要件は加重されており、議員の3分の2以上が出席する会議において、その4分の3以上の同意が必要となる。通常の過半数議決よりはるかに高いこの定足数・賛成要件を満たして初めて、対象の主要公務員は職を失う。住民投票という直接民主の出口を持たず、議会という代表機関の重い議決に委ねる点が、この類型の核心である。
なぜ住民投票ではなく議会の議決なのか
手続の違いは対象者の選ばれ方に対応している。議員と首長は住民が選挙で直接選んだ公職であるため、解職もまた住民投票で住民が直接決する。これに対し、副知事・副市町村長・選挙管理委員・監査委員などの主要公務員は、首長の選任や議会の同意などを経て任命された職であり、住民が直接の選定者ではない。そのため住民の発議は認めつつも、最終判断は任命過程に関与した議会の議決に戻す設計が採られている。署名要件の3分の1は有権者総数が40万を超える部分で緩和される点は他の解職請求と共通するが、住民投票を経ないため住民の直接判断が及ぶ範囲は相対的に限定される。
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