選挙の四原則とは、近代選挙の基本理念である普通選挙・平等選挙・秘密選挙・直接選挙の四つの原則の総称をいう。
自治体の選挙事務担当者が投票所の設営や開票の手順を考えるとき、その作業の一つひとつが何のためにあるのかは、この四原則に行き着く。普通選挙は財産・納税額・性別を要件とせず一定年齢の国民すべてに選挙権を認める原則であり、制限選挙の対義語である。平等選挙は一人一票を原則とし投票の価値を等しく扱う原則で、一票の格差をめぐる訴訟はこの原則の解釈問題である。秘密選挙は誰に投票したかを他人に知られない原則で、無記名投票・投票用紙の様式・記載台の構造といった実務がこれを担保する。直接選挙は有権者が代表者を直接選ぶ原則で、間接選挙の対義語である。憲法は地方公共団体の長と議会の議員について住民の直接選挙を定め(憲法93条2項)、これらの原則は公職選挙法の個々の規定として具体化されている。
四原則それぞれの意味と対義語
普通選挙は、選挙権・被選挙権の要件から財産・納税額・性別・教育などを除き、一定年齢に達した国民に等しく選挙権を認める原則である。納税額などで選挙権を制限する制限選挙が対義語であり、日本では1925年に男子普通選挙、1945年に女性を含む完全普通選挙が実現した。平等選挙は一人一票・投票価値の平等を内容とし、一人に複数票を与える等級選挙・複数選挙が対義語である。秘密選挙は投票内容を秘密にする原則で、無記名投票が原則とされ、誰に入れたかを表示・陳述する義務を負わない(公職選挙法52条)。直接選挙は有権者自身が代表者を選ぶ原則で、有権者が選んだ選挙人がさらに代表者を選ぶ間接選挙が対義語である。
自由選挙を加える五原則の整理
四原則に「自由選挙」(投票するかしないかを含め選挙人の自由意思に委ねる原則)を加えて五原則とする整理もある。日本は投票を罰則付きで強制する強制投票制を採らず、棄権の自由を認める点で自由選挙に立つ。もっとも、戸別訪問の禁止や事前運動の禁止のように選挙運動の方法を制限する規定は、自由選挙と公正確保の調整の問題として議論される。自治体の選挙管理委員会が投票率向上の啓発を行う際も、棄権が違法でない以上、投票の呼びかけは強制でなく勧奨にとどまる点が前提となる。
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