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ジチテン

先議

読み:せんぎ

意味

先議とは、議会に提出された議案を、他の議案や予定された議事日程に先立って審議し議決する議事運営上の取扱いである。地方議会では、緊急を要する議案を会期の早い段階で他の議案と切り離して議決する場合を指す。

国の経済対策を受けた給付金の補正予算定例会開会日に提出されても、議決が会期末になれば執行はひと月遅れる——議案の中には、会期末の一括議決を待てないものがある。提出された議案は通常、提案説明ののち委員会に付託され、審査を経て会期の終盤に表決へ付されるが、先議の扱いとなった議案はこの流れから外れ、開会日やその直後の本会議で提案説明から採決までを先に終える。

議決を急ぐ典型は、国の補正予算の成立を受けて編成する給付金や災害復旧の補正予算、空席を生じさせたくない人事案件である。執行部は招集前に議会側へ先議の希望を伝え、議会運営委員会議事日程への載せ方を協議して決める。議会を開くいとまがないときに首長が用いる専決処分と違い、先議はあくまで議会の議決を経る。議決までの時間を縮めながら審議の機会を残す点で、専決処分への安易な依存を避ける受け皿でもある。

国会の予算先議権との違い

同じ「先議」でも、国会と地方議会では意味が異なる。日本国憲法第60条第1項は「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない」と定め、二院制の国会では予算を必ず衆議院が参議院より先に審議する(衆議院の予算先議権)。法律案でも、先に審議する院を先議院、後から受け取る院を後議院と呼び、参議院から審議を始める議案は「参議院先議」と呼ばれる。これに対し地方議会は一院制であり、院と院の間の先議は存在しない。地方議会の先議は、同じ会期に提出された議案群の中で特定の議案を先に議決するという議事日程上の取扱いを指す。自治体の議会用語集でも「会期の途中で議決すること」「定例会の最終日を待たないで議決すること」と説明されており、国会用語とは別の意味で議会運営の現場に定着している。

委員会付託の省略と「即決」

先議する議案は、委員会審査を待たずに本会議だけで結論を出すことが多い。会議規則は、特に緊急を要するときは議会の議決で委員会付託を省略できる旨を定めており、先議案件はこの規定を使って提案説明、質疑討論、採決を同じ日の本会議で済ませる。いわゆる「即決」である。ただし先議が常に付託省略を伴うわけではなく、開会日に委員会へ付託し、会期半ばの本会議で委員長報告と採決を行う形をとることもある。審査を短縮する分だけ議案の中身を吟味する時間は削られるため、議会側は緊急性の実質を議会運営委員会で確かめたうえで受けるのが通例である。執行を急ぐ事情が議会の招集さえ待てない水準であれば地方自治法第179条の専決処分によることになるが、専決処分の多用は議会軽視と批判されてきた経緯があり、先議は議決機関の関与を保ったまま速度に応える中間の選択肢である。

つながりのある用語

言い換え・代替

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