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ジチテン

第一号法定受託事務

読み:だいいちごうほうていじゅたくじむ

意味

第一号法定受託事務とは、法定受託事務のうち、本来は国が果たすべき役割に係るものであって、国が適正な処理を特に確保する必要があると法律または政令で定められたものをいう(地方自治法第2条第9項第1号、別表第一)。

国政選挙の事務や旅券の交付を市町村都道府県が担っているのに、それが自治事務ではないのはなぜか。これらは本来国が果たすべき役割に属し、国が処理の適正さを特に確保する必要があるとして、地方自治法別表第一に法定受託事務として列挙されているからである。第一号法定受託事務は、国が本来の責任主体であるこの類型を指し、都道府県が本来の責任主体である第二号法定受託事務と対をなす。国政選挙、旅券の交付、戸籍事務、生活保護の決定・実施などが代表例で、これらの事務には国の是正の指示など、自治事務より強い関与が認められる。地方分権改革機関委任事務が廃止された際、国の関与の必要が残る事務を法律の根拠を持つこの類型へ整理したという経緯を押さえると、関与の強弱の理由が理解しやすい。

国が本来の責任主体であることの含意

第一号法定受託事務の定義の核心は、その事務が本来は国が果たすべき役割に係るという点にある。だからこそ国は、自治事務よりも強い関与の手段——とりわけ是正の指示(地方自治法第245条の7)——を用いて処理の適正を確保できる。代執行が制度上想定されるのも、原則としてこの類型に対してである。事務の実施主体は都道府県・市町村であっても、責任の最終的な所在が国にあるため、処理基準を国が定め、これに従って自治体が事務を執行するという関係が成り立つ。国政選挙の管理執行、旅券(パスポート)の交付、戸籍、生活保護、生活困窮者自立支援、各種国の統計調査などが別表第一に掲げられる代表例である。

自治事務・第二号との違いと条例制定の余地

同じ自治体の事務でも、法定受託事務以外はすべて自治事務であり、国の関与は助言・勧告是正の要求などの緩やかな手段が原則となる。法定受託事務の中でも、国が責任主体の第一号と、都道府県が責任主体の第二号は別表第一・別表第二で区分され、関与する側が国か都道府県かが異なる。なお、法定受託事務であっても自治体の事務であることに変わりはなく、機関委任事務時代と異なり、法令に反しない範囲で条例を制定でき、議会の検査・監査の対象にもなる。この点が、国の下部機関として処理していた旧機関委任事務との決定的な違いであり、地方分権改革が国と地方を対等・協力の関係に置き直したことの帰結である。

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