繰替払とは、地方公共団体が収納した現金を、その収入に関連する特定の経費の支払に繰り替えて充てる支出方法である(地方自治法施行令第164条)。収納金をいったん正規の出納経路に入れてから支出するのではなく、収納した現金から直接支払う点で支出の特例に当たる。
競輪場の窓口で当たり車券の払戻金を支払うのに、売上金を金庫へ納め、支出命令を起こして指定金融機関から払い出すという正規の手続を踏んでいたら、窓口はその場で止まってしまう。繰替払は、こうした場面で収納したばかりの現金からただちに関連する経費を支払うことを認める特例であり、公営競技の払戻金や地方税の報奨金、証紙の取扱手数料のように、収納金から直接払うことが合理的な経費に限って政令と各団体の財務規則が対象を定めている。あくまで現金操作の特例であって、予算を通さない支出を認めるものではない。繰り替えた後は歳入と歳出の両方を予算に計上して整理するため、収入から支出を差し引いた残額だけを計上する純計処理にはならない。会計課や出納員が扱う現金事務の中では地味だが、対象経費と整理期日を財務規則で確認せずに運用すると、決算で歳入歳出の計数が合わなくなる類いの事故につながる。
仕組みと予算上の整理
繰替払は資金前渡・概算払・前金払と並ぶ支出の特例の一つで、地方自治法施行令第164条が対象経費を限定して認める。収納現金から直接支払った後、財務規則の定める期日までに、支払った額を歳出予算に、繰り替える前の収納額を歳入予算にそれぞれ計上して整理する。歳入歳出の全額計上を求める総計予算主義(地方自治法第210条)の下では、差引きの純額だけを歳入とする処理は許されないからである。似た言葉に基金の繰替運用があるが、こちらは歳計現金が不足するときに基金の現金を一時的に流用する資金繰りの手法であり、特定経費の支払方法である繰替払とは別の制度である。名称が紛らわしいため、会計事務の引継ぎではこの2つを区別して教えるのが定石になっている。
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