前金払とは、地方自治法施行令第163条に基づき、自治体が債務金額の確定後・履行前の段階で、代金の全部または一部を相手方に前もって支払う例外的な支出方法である。
会計の原則は、相手方の履行が確認できた後に対価を支払う後払いであるが、前金払はその例外として、政令が列挙する経費に限って認められる。代表例は工事請負契約の前払金で、受注者が資材調達や着工資金を確保できるよう、契約金額の一定割合を着工前に支払う。金額が確定している点で、概算で支払い後に精算する概算払とは異なる。前払金は本来の対価の一部であるため、後日あらためて精算する必要は原則としてないが、契約が履行されなかった場合には返還を求める。公共工事では前払金保証事業会社の保証を付すことで、資金の目的外使用や受注者の倒産に備える運用が一般的である。
概算払・精算払との違い
前金払・概算払・精算払は、いずれも後払いの原則に対する例外として政令で認められた支出方法だが、性質が異なる。前金払は、支払うべき金額がすでに確定しているものを、履行前に前もって支払う方法である。これに対し概算払は、支払うべき金額がまだ確定していない段階で概算額を支払い、後日金額が確定したときに過不足を精算することを前提とする。精算払はその精算の局面を指す。つまり前金払は「確定額を先に払う」、概算払は「未確定額を仮に払って後で清算する」点で区別される。旅費や補助金の交付などでは概算払が、工事請負費では前金払が典型的に用いられる。
対象となる経費と保証
前金払の対象は、地方自治法施行令第163条に列挙された経費に限られる。官公署に対して支払う経費、補助金・負担金、土地・家屋の買収または収用に伴う移転料、定期刊行物の代価、運賃などのほか、公共工事の前払金が実務上最も大きな比重を占める。公共工事では、公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づき、前払金保証事業会社の保証を条件として契約金額の四割程度を前払金として支払う運用が広く行われている。保証を付すのは、前払金が資材購入や労務費など当該工事の目的に沿って使われることを担保し、受注者が履行できなくなった場合に自治体が前払金の返還を受けられるようにするためである。
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