本文へスキップ
ジチテン

統合型GIS

読み:とうごうがたじーあいえす

意味

統合型GISとは、庁内の複数部署が共通に利用できる地図データ(共用空間データ)を一元的に整備・管理し、各課の業務データを重ねて全庁で利用する地理情報システムである。固定資産GISや道路台帳システムのように特定業務の専用に構築される個別GISと対をなす整備形態である。

道路課も、固定資産税課も、都市計画課も、下水道課も、同じまちの地図を使って仕事をしている。それぞれが別々に航空写真を発注し、別々のシステムで地図を抱えていれば、同じ地図への投資が課の数だけ繰り返される。統合型GISはこの重複をなくすために、背景となる地図データを全庁で一本化し、その上に各課の主題データをレイヤとして重ねる整備形態である。総務省が2000年代から電子自治体施策の柱として推進し、平成20年(2008年)3月には統合型GIS推進指針を示して、共用すべきデータ項目と整備の進め方を整理した。

効果は経費の節減にとどまらない。課をまたいでデータを重ねられること自体が新しい仕事の仕方を生む——都市計画図に家屋の課税データを重ねて空き家の分布を推定する、避難所と要支援者の分布を重ねて防災計画を検証するといった分析は、地図が共通基盤になって初めて成り立つ。住民向けにハザードマップや都市計画情報を地図で公開する公開型GISも、統合型の基盤があれば同じデータから派生させられる。論点は整備後の運用へ移っており、背景地図の更新を誰がどの周期で担うか、個人情報を含むレイヤの庁内アクセス制御をどう設計するかが、定着の成否を分けている。

共用空間データ——何を全庁共通にするか

統合型GISの核は共用空間データの設計である。総務省の整理では、行政区域、道路、道路中心線、建物、街区、筆、河川、標高、航空写真(画像)など16項目が共用空間データの例として示され、「複数部署で多目的に利用でき、一定の品質が確保された空間データ」と定義された。各課はこの共通の背景の上に、都市計画の用途地域、上下水道の管路、防災の避難所といった所管の主題レイヤを重ねる。成否を分けるのは鮮度の管理で、建物の新築や道路の異動が背景地図に反映されないと、全部署の判断材料が一斉に古びる。航空写真の撮影周期、地番図と法務局データの突合、原課からの異動情報の集約という更新の段取りを、情報担当と原課のどちらが負うかまで含めて運用設計する必要がある。国土地理院が無償提供する基盤地図情報を骨格に使えば、国や他団体のデータとの位置の整合も取りやすい。

個別GISとの関係——「全部を1つに」ではない

統合型GISは庁内のすべてのGISを1つに統合する構想ではない。固定資産GISのように課税情報という高い秘匿性と地番単位の精度を要する業務や、上下水道の施設管理のように専用の属性管理を要する業務は、個別GISとして残したうえで統合型と背景地図を共用する構成が現実的である。判断の軸は「そのデータを他課も使うか」であり、使うなら共用レイヤへ、使わないなら個別システムへ振り分ける。整備の形態は自前サーバからクラウド型のサービス利用へ広がり、導入の敷居は下がった。住民公開の局面では、統合型の地図データからハザードマップや都市計画情報の公開型GISを派生させることで、窓口での図面交付や電話照会を減らせる。庁内に散らばる地図の棚卸しから始め、共用と個別の線引きを定め、更新運用を回す——統合型GISの導入はシステム調達であると同時に、庁内のデータガバナンスの再設計である。

つながりのある用語

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)