基盤地図情報とは、地理空間情報活用推進基本法に基づき、電子地図上における地理空間情報の位置を定めるための基準となる、測量の基準点や海岸線、道路縁、行政区画の境界線といった項目の位置情報である(同法第2条第3項)。国土地理院が全国分の整備・更新を担い、インターネットで無償提供している。
都市計画図と道路台帳と防災マップを一枚に重ねたら、同じ交差点が少しずつずれた三つの場所に描かれていた——部署ごとに別々の測量で別々の時期に作られた地図は、骨格の位置が揃わない。この骨格を全国共通で揃えるために法定されたのが基盤地図情報で、2007年制定の地理空間情報活用推進基本法が「位置の基準」として定義し、国土交通省令が測量の基準点から建築物の外周線まで13項目を定めた。自治体が都市計画図や施設台帳を電子化するとき、この骨格に位置を合わせておけば、他部署のデータとも国の地図とも狂いなく重なる。統合型GISの共用空間データを設計する際の土台であり、ダウンロードサービスから無償で取得できるため、ハザードマップの背景図や民間の地図サービスにも使われている。見落とされやすいのは、元データの相当部分が自治体自身の公共測量成果だという点である。自治体は基盤地図情報を使う側であると同時に育てる側でもあり、この循環が途切れた市街地では地図が古いまま残る。
13項目と縮尺レベル——どこが2500でどこが25000か
国土交通省令(基盤地図情報に係る項目及び基盤地図情報が満たすべき基準に関する省令)は、測量の基準点、海岸線、行政区画の境界線及び代表点、道路縁、建築物の外周線、標高点といった13項目を基盤地図情報の範囲と定めている。道路の縁と建物の輪郭が入っていることが実務上の要で、この2つが揃えば市街地の地図の骨格はおおむね再現できる。整備の精度は地域で異なり、都市計画区域は縮尺レベル2500(2,500分の1地形図に相当する精度)、それ以外の区域は縮尺レベル25000で整備・提供される。つまり都市計画区域の外では建物1棟単位の正確な重ね合わせは期待できず、農村部の施設台帳をGISに載せる際は精度の限界を踏まえた運用になる。データは国土地理院の電子国土基本図と一体的に管理され、ダウンロードサービスから区域と項目を選んで取得できる。
公共測量の成果が原料——自治体が基盤地図情報を育てる
基盤地図情報は国土地理院が一から測量して作ったものではなく、市街地の多くは自治体の都市計画基図や道路台帳図といった公共測量の成果を原資料とする。測量法は公共測量の実施計画書の提出(第36条)と測量成果の写しの提出(第40条)を義務づけており、国土地理院は提出された成果を取り込んで基盤地図情報と電子国土基本図を更新する。この仕組みの含意は重い——市町村が財政難で都市計画基図の更新を中断すれば、その市域の基盤地図情報も古いまま止まり、国の地図にも民間の地図サービスにも反映されない。逆に、道路改良や区画整理のたびに公共測量を実施して成果を提出する自治体の市街地は、地図の鮮度が保たれる。基盤地図情報の品質は、全国の自治体の測量行政の積み上げそのものである。
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