地理空間情報(G空間情報)とは、地理空間情報活用推進基本法第2条に定める、空間上の特定の地点・区域の位置を示す情報と、それに関連付けられた情報である。地図や測量の成果から統計・施設情報まで、位置をキーに重ね合わせられるデータの総称である。
住所、施設の場所、浸水想定、人口分布——自治体が扱う情報の大半は「どこで」という位置を持っている。位置が共通のキーになれば、別々の部署が別々の目的で作ったデータを一枚の地図に重ねて使えるという発想が、地理空間情報という概念の核心である。2007年に議員立法で成立した地理空間情報活用推進基本法は、この発想を国の基本施策に据え、位置の基準となる基盤地図情報の整備と、衛星測位(準天頂衛星みちびき)・GISの活用を両輪と位置づけた。政府は「G空間情報」の呼称でも普及を進め、基本計画を累次策定している。自治体にとっては、都市計画基礎調査や道路台帳、ハザードマップといった手持ちのデータがすべて地理空間情報であり、それらをGISで重ね、オープンデータとして公開し、EBPMの材料にするという一連の流れの出発点になる概念である。
位置の基準を揃える——基盤地図情報という土台
別々に作られた地図データを重ねるには、道路の縁や行政区画の境界といった骨格の位置が一致していなければならない。地理空間情報活用推進基本法はこの骨格を基盤地図情報と定義し、国土地理院が全国分を整備してインターネットで無償提供している。自治体が都市計画図や施設台帳を電子化するときは、この基盤地図情報に位置を合わせて作ることで、国や他団体、民間のデータと重ね合わせ可能になる。測量の基準点に基づく正確な位置という共通の物差しがあって初めて、固定資産GISや防災GIS、統合型GISといった庁内システムの相互利用が成り立つ。逆に言えば、位置の基準を無視して作られた「絵としての地図」は、見た目が正しくてもデータとして接続できない。
自治体のデータこそ資源——流通の回路と公開の作法
都市計画基礎調査、道路台帳、下水道台帳、ハザードマップ——地理空間情報の現物を大量に持っているのは国よりむしろ自治体である。これらを死蔵せず流通させる回路として、官民のデータを集約するG空間情報センターが2016年に運用を開始し、国土交通省の国土数値情報や3D都市モデル(PLATEAU)もここから入手できる。自治体側の論点は公開の作法で、機械判読可能な形式(シェープファイル・GeoJSONなど)と二次利用可能なライセンスで出さなければ、民間のアプリや研究には使われない。個人の居住が推定できる粒度のデータや、土砂災害のおそれのある箇所の未確定情報など、公開に判断を要する素材もあり、何をどの粒度で出すかはオープンデータ方針との突き合わせで決めることになる。
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