行政行為とは、行政庁が法令に基づき、公権力の行使として一方的に国民の権利義務を具体的に決定する行為をいう。学問上の概念であり、実定法では処分や行政処分と呼ばれる。
許可・認可・課税・営業停止命令といった日常の行政の決定を、なぜ私人間の契約と区別して特別に扱うのか——その根拠を説明するのが行政行為という講学概念である。行政行為には、いったん成立すると正当な権限ある機関が取り消すまで有効なものとして通用する公定力、出訴期間を過ぎると争えなくなる不可争力、行政が自ら強制執行できる自力執行力といった、私人の法律行為にはない効力が認められる。これらの効力ゆえに、相手方が不服なら審査請求や取消訴訟という法定の手続で争うほかない。実務では「処分」に当たるか否か(処分性の有無)が抗告訴訟を起こせるかの分かれ目になり、行政指導や内部の通達は処分でないため行政行為に含まれない。窓口で出す決定がこの行政行為に当たるかどうかは、教示の要否や争訟ルートを左右する基本の見極めである。
効力——なぜ私人の法律行為と違う扱いを受けるか
行政行為が私人間の契約と異なる最大の点は、特殊な効力が認められることである。第一に公定力で、たとえ瑕疵があっても、重大かつ明白で無効と評価される場合を除き、権限ある機関が取り消すまで一応有効なものとして通用する。課税処分に不満でも、取り消されるまでは納税義務が生じるのはこのためである。第二に不可争力(形式的確定力)で、審査請求期間や出訴期間を過ぎると相手方の側からはもはや効力を争えなくなる。第三に自力執行力で、行政代執行などにより、裁判所の判決を待たずに行政が自ら義務の履行を強制できる。これらは法律による行政の原理のもとで法律が特に認めた効力であり、明文の根拠が要る。
「処分」に当たるかが争訟の入口を決める
講学上の行政行為は、行政事件訴訟法や行政不服審査法では「処分」という語で受け止められる。ある行為が処分に当たるか(処分性)が、取消訴訟や審査請求の対象になるかの分かれ目になる。判例は、公権力性と、国民の権利義務を直接具体的に変動させることを基準としており、行政指導・通達・行政計画の多く・事実行為は原則として処分性が否定される。窓口担当者にとっては、自分が出す通知が処分なのか単なる事実の通知なのかで、理由の提示や教示の要否、相手方が争う手段が変わるため、行為の性質の見極めが実務の起点になる。
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