ジチテン

不可争力

読み:ふかそうりょく

別名:形式的確定力
意味

不可争力とは、行政行為について不服申立期間や出訴期間が経過すると、相手方の側からその効力を争えなくなる効力をいう。

処分の通知を受けた住民から「もう取消しを求められないのか」と問われたとき、その期限を画するのが不可争力である。不可争力は、不服申立期間や出訴期間が過ぎると、相手方が行政行為の効力を争えなくなる効力で、形式的確定力とも呼ばれる。早期に法律関係を安定させる趣旨に基づく。ただし不可争力が生じても、処分が無効である場合は期間制限を受けずに争え、また行政庁の側から職権で取消し・撤回することは妨げられない。行政庁が自ら処分を変更できなくなる不可変更力とは、誰の側から争えなくなるかという点で区別される。教示制度は、相手方が期間内に争う機会を確保するための仕組みである。

無効な処分には及ばない

不可争力は、取消しうべき瑕疵にとどまる処分について、出訴期間や審査請求期間の経過後は私人の側から争えなくする効力である。これに対し、重大かつ明白な瑕疵により無効とされる処分には不可争力が生じない。無効な処分はそもそも初めから効力を持たないため、出訴期間の制限を受けずに無効確認訴訟で争えるほか、後続処分を争う前提として無効を主張することもできる。したがって、期間を徒過した私人がなお処分を争えるかは、その瑕疵が取消事由にとどまるか無効事由にあたるかという区別にかかっており、両者の線引きが実務上の争点となる。

職権取消しとの関係

不可争力は相手方の側から争えなくする効力にとどまり、行政庁が職権で処分を取り消し・撤回する余地までは奪わない。違法・不当な処分を処分庁や監督庁が自ら是正する職権取消しは、争訟の出訴期間の経過後も可能である。つまり、期間を徒過した私人が処分を争えなくなっても、行政の側からは是正の道が残る。もっとも、職権取消しはいつでも自由にできるわけではなく、相手方に利益を与える授益的処分(許可・給付決定など)を取り消す場合は、相手方が処分を信頼して築いた地位の保護や、取消しによって失われる利益と是正によって守られる公益とを比較衡量しなければならない。違法だからといって直ちに取り消せるとは限らず、相手方の帰責性や時間の経過が取消しの可否を左右する。この点で、私人が争えなくする不可争力と、行政が是正できる職権取消しとは、別個の問題として整理される。

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