ジチテン

不可変更力

読み:ふかへんこうりょく

別名:実質的確定力
意味

不可変更力とは、審査請求の裁決など争訟を裁断する性質を持つ行政行為について、これを行った行政庁自身が後から職権で取消し・変更できなくなる効力をいう。

通常の行政処分は、行政庁が誤りに気づけば自ら職権で取り消せる。ところが争いを裁断して下した判断まで行政庁が後から覆せるとすれば、当事者は何を信じてよいか分からなくなる。不可変更力は、そうした争訟裁断行為に限って行政庁の自己変更を封じる効力である。

不可変更力が及ぶのは、審査請求に対する裁決や、行政不服審査会の答申を経た判断のように、紛争を終結させる性質の行政行為に限られる。一般の処分には及ばない点が重要で、ここが職権取消しの可否を分ける。相手方が争えなくなる不可争力が「私人の側」を縛るのに対し、不可変更力は「行政庁の側」を縛るもので、両者は別の方向から行政行為を安定させる。

争訟裁断行為にのみ及ぶ

不可変更力は、すべての行政行為に生じるわけではなく、争訟を裁断する性質を持つ行政行為に限って認められる。代表例は審査請求に対する裁決で、これは当事者間の紛争を審理して終結させる判断であるため、いったん下した行政庁が自らこれを覆せるとすれば紛争解決の意味が失われる。そこで判決の自縛性に類する効力として、行政庁自身による職権取消し・変更を否定する。逆に、許認可や課税処分のような通常の処分には不可変更力は及ばず、行政庁は違法・不当を理由に職権で取り消すことができる。

不可争力・既判力との違い

不可変更力は行政行為の効力論の中でしばしば混同される。不可争力は、出訴期間や審査請求期間の経過により私人の側が争えなくなる効力であり、縛られるのは相手方である。これに対し不可変更力は行政庁の側を縛る。また既判力は確定判決が持つ通用力であって裁判所の判断に伴うものであり、行政庁の裁決が当然に既判力を持つわけではない。三者は「誰が・いつ・何を覆せなくなるか」が異なり、行政行為をどの方向から安定させるかで区別する。

つながりのある用語

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)