消防大学校とは、消防組織法に基づき消防庁に置かれる施設等機関であり、消防職員・消防団員に対し幹部として必要な高度の教育訓練を行う国の機関である。
救助隊長を専門課程に送りたいが、県の消防学校と国の消防大学校のどちらの研修か——消防本部の人事担当が毎年度向き合う振り分けである。消防大学校は東京都調布市にある国の教育訓練機関で、都道府県の消防学校が初任教育や基礎的な専科教育を担うのに対し、幹部や教育訓練の指導者に対する、より高度な教育を受け持つ。課程は、幹部級の職員を対象とする幹部科や上級幹部科、新任の消防長・消防学校長を対象とする課程からなる総合教育と、警防、救助、火災調査、予防、危険物保安など分野別の専科教育、短期の実務講習に大別される。入校は消防本部や都道府県からの推薦に基づき、定員の枠内で全国から選考される。市町村消防の幹部養成は単独の消防本部では完結しないため、消防大学校への計画的な派遣が人材育成計画の柱になる。全国から集まる同期のネットワークが、消防本部間の相互応援や広域化協議の素地になるという研修機関ならではの効用もある。
消防学校との二層構造——消防組織法が定める役割分担
消防組織法は、消防庁の事務として消防大学校における教育訓練を規定し(第5条)、都道府県には消防学校の設置を義務付ける(第51条。指定都市は単独または都道府県との共同で設置できる)。新規採用職員の初任教育と現場分野ごとの専科教育の大部分は消防学校で行われ、消防大学校は消防学校では担えない幹部教育と、消防学校の教育訓練を指導する教官や学校長の養成を受け持つ。つまり二層の教育体系そのものが法定されている。人事担当の実務では、昇任時期と入校時期の整合、数か月に及ぶ入校中の代替要員、旅費等の負担をセットで設計する必要があり、小規模な消防本部では一人を長期間外すことが容易でないため、近隣本部と入校枠を融通し合う調整も行われる。
消防職員だけではない——防災・危機管理部門と消防団幹部の入校
消防大学校の対象は消防吏員に限られない。都道府県や市町村の防災・危機管理担当職員を対象とする実務講習が設けられ、災害対策本部の運営や国民保護といった題材を消防幹部と同じ校舎で学ぶ。一般行政職の防災担当者が消防の指揮や幕僚活動の考え方に触れる機会は限られるため、防災部門の人材育成として利用価値が高い。消防団についても、団長や副団長級を対象とする幹部教育の課程が置かれ、地域防災の中核を担う消防団幹部が全国の事例に触れる場になっている。入校案内は毎年度、消防庁から都道府県と消防本部に通知されるが、防災部門では消防職員専用の制度と思い込まれて見過ごされがちで、行政職向けの枠を毎年度確認して研修計画に組み込む団体は強い。
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