特別地方公共団体とは、特別区、一部事務組合・広域連合からなる地方公共団体の組合、および財産区の総称であり、特定の目的や経緯のために設けられる地方公共団体の区分である(地方自治法第1条の3第3項)。どこにでも普遍的に存在する普通地方公共団体と対をなす。
ごみ処理場を共同運営する一部事務組合も、人口970万人を擁する東京23区の特別区も、入会林野を受け継いだ山あいの財産区も、地方自治法の上では同じ「特別地方公共団体」という一つの箱に入る。この区分は、都道府県や市町村のように全国どこにでも存在する統治団体の標準形ではなく、特定の目的・区域・沿革に応じて法人格を与えられた団体をまとめて扱うための器である。地方自治法第1条の3第3項が挙げるのは特別区、地方公共団体の組合、財産区の三類型で、かつて並んでいた地方開発事業団は2011年の法改正で制度ごと廃止された。このほか、市町村の合併の特例に関する法律に基づき期間を定めて置かれる合併特例区も、自治法の外で定められた特別地方公共団体である。実務上の急所は、特別区を除けばいずれも住民が長や議員を直接選ぶ団体ではない点にある。一部事務組合や広域連合の議会は構成団体側からの選出で組み立てられ、財産区は原則として市町村の長と議会が管理を代行する。課税や条例制定といった権能も類型ごとにまちまちで、「地方公共団体」という名から普通地方公共団体と同じ自治権を連想すると制度設計を読み誤る。
三類型と消えた四つ目——カタログの現在地
現行のカタログは、特別区(地方自治法第281条)、一部事務組合と広域連合からなる地方公共団体の組合(第284条)、市町村の一部に属する財産や公の施設を管理する財産区(第294条)の三類型である。2011年の地方自治法改正までは、複数の団体が地域開発事業を共同実施するための地方開発事業団が四つ目として並んでいたが、利用が低調なまま制度ごと廃止された。同じ改正では組合の側でも全部事務組合・役場事務組合が削られており、カタログは時代とともに代謝している。逆に自治法の外で増えた例が、合併市町村の旧市町村単位に5年以下の期間を定めて置かれる合併特例区(市町村の合併の特例に関する法律)である。三類型はいずれも法人格を持つ点で共通するが、課税権を持つのは特別区だけであり、組合は構成団体の分賦金、財産区は財産収入で賄うという財政構造の違いが、それぞれの守備範囲を規定している。
特別区は「特別」のままか——憲法上の地位をめぐるねじれ
最高裁は昭和38年3月27日の大法廷判決で、特別区は憲法第93条第2項にいう地方公共団体に当たらないと判断し、区長公選制を廃止した1952年の法改正を合憲とした。その後1974年改正で区長公選が復活し、2000年施行の都区制度改革では特別区が「基礎的な地方公共団体」と明記されるに至った(地方自治法第281条の2第2項)。住民が長と議会を直接選び、課税権も条例制定権も持つ団体が、法形式上はなお特別地方公共団体の箱に残っている——このねじれが、都区財政調整制度や児童相談所の設置権限をめぐる都と区の綱引きの底流にある。2012年制定の大都市地域における特別区の設置に関する法律は、指定都市の区域を廃して特別区を設置する道を開き、大阪市では2015年と2020年の住民投票でいずれも僅差で否決された。特別区という類型は、もはや東京固有の制度ではなく大都市制度の選択肢の一つになっている。
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