課税権とは、地方公共団体が租税を賦課し徴収することができる権限をいう。
ある収入を税として住民から強制的に取り立てる根拠はどこにあるのか。地方公共団体の課税権は、憲法による地方自治の保障と地方税法を背景に、地方自治法223条が「普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる」と定める点に直接の根拠を置く。課税権は、どの税目を課すかを決める権限、税率を定める権限、賦課徴収の手続を行う権限を含む包括的な権限である。このうち団体が自らの判断で税目・税率を選択できる部分が課税自主権と呼ばれ、法定外税の創設や標準税率を超える超過課税はその発現である。一方で課税権は租税法律主義・地方税条例主義の制約を受け、条例の根拠なしに課税はできない。徴税の現場では、課税権の及ぶ範囲(人的・物的・場所的な課税管轄)をめぐって、住所地や事業所所在地の認定が争点になる。
課税権の根拠と範囲
地方公共団体の課税権は、憲法92条の地方自治の本旨と94条の条例制定権を背景に、地方自治法223条および地方税法2条が法律上の根拠を与えている。地方税法2条は「地方団体は、この法律の定めるところによって、地方税を賦課徴収することができる」と定め、課税権が法律の枠内で行使される権限であることを明らかにする。課税権の内容は、課税団体を定める権限、課税客体・課税標準・税率を定める権限、賦課・徴収の手続を行う権限に分かれる。課税権の及ぶ範囲は人的管轄(誰に課すか)、物的管轄(何に課すか)、場所的管轄(どの区域の事象に課すか)で画され、複数団体の課税管轄が重なる場合は、住所地・事業所所在地などの基準で帰属を調整する。
課税自主権との関係
課税権が「税を課す権限」一般を指すのに対し、課税自主権はそのうち団体が自らの判断で税目や税率を選択できる自律的な部分を指す。両者は包含関係にあり、課税自主権は課税権の一側面である。地方税法は標準税率・制限税率・一定税率の別を設け、団体が裁量を行使できる幅を法定する。標準税率を超えて課す超過課税、法定の税目以外に独自の税を設ける法定外普通税・法定外目的税は、課税自主権の具体的な発現である。ただし課税権の行使はあくまで条例の根拠を要し、租税法律主義と地方税条例主義により、課税要件と賦課徴収の手続は条例で定めなければならない。
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