農業委員会等に関する法律(農委法)とは、市区町村に置かれる農業委員会の設置や組織・運営と、農業委員会ネットワーク機構について定める法律である(昭和26年法律第88号)。農地行政の執行体制を支える組織法であり、農地の権利調整の実体規定を担う農地法と対をなす。
農地転用の許可も遊休農地の調査も、市区町村では農業委員会という独立の行政委員会が担っている。その足腰——委員を誰がどう選び、定数をどう決め、どんな支援組織を持つか——を定めるのが本法で、農地の実体ルールを定める農地法と車の両輪をなす。2015年(平成27年)の大改正では委員の公選制を廃止して市区町村長が議会の同意を得て任命する方式へ転換し、担い手の現場目線を入れる農地利用最適化推進委員を新設した。あわせて系統組織だった都道府県農業会議と全国農業会議所を一般社団法人の農業委員会ネットワーク機構へ再編し、農業委員会の後方支援組織と位置付け直した。市町村の農政担当や農業委員会事務局にとっては、委員の改選期ごとの議会同意人事や定数条例の根拠となる、組織運営の基本法である。
委員の任命要件——認定農業者の過半数原則
2015年改正後の農業委員は、市区町村長が議会の同意を得て任命する。任命にあたっては原則として委員の過半数を認定農業者とし、農業委員会の所掌に属する事項に利害関係を有しない者(いわゆる中立委員)を含め、年齢や性別に著しい偏りが生じないよう配慮することが法定されている。区域内の認定農業者が少ない市町村にはこの過半数要件を緩和する例外が政令で用意されており、中山間地域の小規模な町村では実際に例外を使う例が珍しくない。定数は政令の基準に従い条例で定めるため、3年ごとの改選期には定数条例の確認と議会同意人事が農業委員会事務局の大きな実務になる。候補者は公募と推薦で募り、応募・推薦の状況を公表する手順まで法令で定められている点も、他の行政委員会の委員人事には見られない特徴である。
農業委員会ネットワーク機構——農業会議・全国農業会議所の再編
かつて都道府県農業会議と全国農業会議所は本法に基づく特別の法人で、農地転用許可に際して農業委員会側が諮問する常設の審議機関だった。2015年改正はこれらを一般社団法人へ移行させ、都道府県知事と農林水産大臣がそれぞれ指定する農業委員会ネットワーク機構として再出発させた。機構の役割は、委員や農地利用最適化推進委員への講習・研修、農地に関する情報の収集・整理・提供、新規参入の支援という後方支援に再定義され、転用許可の法定諮問は廃止された。ただし30アールを超える農地転用について農業委員会が意見を述べる場合には都道府県機構の意見を聴く仕組みが農地法に残っており、転用事務への系統的なチェックは形を変えて続いている。市町村は機構(農業会議)への負担金を毎年度予算計上しており、農業委員会費の査定で目にする費目である。
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