更生保護とは、犯罪をした人や非行のある少年に対し、社会の中で指導と支援を行ってその改善更生を助け、再犯を防ぐことを目的とする制度をいい、保護観察、生活環境の調整、更生緊急保護等を内容とする。
刑務所や少年院を出た人の立ち直りを、塀の外で誰がどう支えるのか。この仕組みの総称が更生保護であり、所管は法務省だが、住まい、福祉、就労の窓口を持つ市町村の実務とも接点が多い。更生保護法(平成19年法律第88号)が基本法で、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を統合して2008年に施行された。中身は、保護観察所の保護観察官と民間の保護司が対象者を指導・支援する保護観察、矯正施設に入っている段階から帰住先の家族や引受人と調整を行う生活環境の調整、満期釈放等で行き場のない人へ当面の保護を行う更生緊急保護、仮釈放・仮退院の審理、恩赦、犯罪予防活動である。国の制度でありながら、その実働は保護司、更生保護施設、更生保護女性会、BBS会、協力雇用主といった民間の担い手に支えられている点に特色があり、地域社会の理解なしには成り立たない。
市町村実務との接点
更生保護は国の制度だが、対象者の生活再建は市町村の窓口を経由して進む。矯正施設退所者が地域に戻れば、住民票の異動、生活保護の申請、障害者手帳の取得、介護保険や国民健康保険の手続が生じ、高齢または障害のある退所者については地域生活定着支援センターが福祉サービスへの橋渡しを担う。再犯の防止等の推進に関する法律(2016年)は、地方公共団体に地方再犯防止推進計画の策定を努力義務として課し、保護観察所と市町村が協議する場が広がった。毎年7月の「社会を明るくする運動」は法務省の主唱する全国運動で、市町村や保護司会が実行委員会を組んで広報や住民集会を行う。保護司の活動拠点である更生保護サポートセンターの設置に市町村が公共施設を提供する例も増えており、庁舎や公民館の貸与が地域の更生保護を支える具体策になっている。
官民協働という設計
更生保護の実働部隊は圧倒的に民間である。常勤の国家公務員である保護観察官が全国に約1,000人であるのに対し、法務大臣の委嘱を受けた無給の保護司は約47,000人おり、対象者との面接や見守りの大半を担う。住居のない対象者を宿泊させて生活指導を行う更生保護施設は全国に約100施設あり、その多くを更生保護法人が運営する。雇用面では、前歴を承知のうえで雇い入れる協力雇用主が登録されており、就労の確保が再犯防止の最大の鍵とされることから、国は協力雇用主への奨励金や公共調達での優遇を整えてきた。専門性を持つ少数の官と、地域性と継続性を持つ多数の民が役割を分け合うこの構造は、保護司の高齢化となり手不足によって持続可能性が問われており、2024年から国の検討会が保護司制度の見直しを進めている。
つながりのある用語
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