標準会議規則とは、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会の3つの議長会がそれぞれ作成し、加盟議会に示している会議規則のひな形である。法令ではなく準則であり、各議会は地方自治法第120条に基づき、これを参考に自らの会議規則を議決して定める。
全国に1,788ある地方議会がそれぞれ白紙から会議規則を書き起こせば、議事手続の解釈も運用の先例も議会ごとにばらばらになり、疑義が生じるたびに各議会が単独で答えを探すことになる。標準会議規則は、都道府県、市、町村の3つの議長会が加盟議会のために用意している会議規則のモデルで、ほとんどの議会が自らの会議規則をこれに準拠して定めているため、条文と運用は全国でほぼ共通している。発言通告や動議の手続、表決の方法といった日々の議事運営に迷いが生じたとき、議会事務局は標準会議規則とその逐条解説、議長会の運営先例を参照して答えを得る。
拘束力のない準則でありながら、その改正は全国の議会を一斉に動かす。育児や介護を本会議の欠席事由として明文化した2021年の改正では、全国の議会の会議規則改正が短期間のうちに相次いだ。地方議会の運営実務を事実上規律しているのは、法律の細目ではなくこの標準である。
準則という法形式——拘束力なき全国標準
標準会議規則は3議長会が定める参考例であり、法令としての効力を持たない。会議規則そのものは、地方自治法第120条が「普通地方公共団体の議会は、会議規則を設けなければならない」と定める必置の自主法規で、制定も改正も各議会の議決による。標準会議規則の改正がそのまま各議会に適用されることはなく、各議会が追随して自らの規則を改正して初めて実際の運用が変わる。それでも現実の条文は標準とほぼ一致しており、議長会が発行する逐条解説や先例集、議会運営に関する照会への回答が事実上の有権解釈として機能している。法的拘束力と実効性が分離したまま全国標準が成立している、地方議会に固有の規範形態である。
2021年改正——欠席事由の明文化と押印の見直し
標準会議規則の影響力を示したのが2021年(令和3年)2月の3議長会による一斉改正である。男女共同参画担当大臣からの要請を受け、本会議や委員会の欠席事由として育児、看護、介護等を明文化し、出産による欠席は産前産後の期間を踏まえて認める規定に改めた。あわせて、請願書の提出に求めていた署名押印を「署名又は記名押印」に緩め、行政手続から押印を減らす流れに揃えた。内閣府の調査では、本人の出産を欠席事由として明文化した市区町村議会はその後9割を超えており、標準の改正が短期間で全国の議会規則を塗り替えたことが分かる。議員のなり手不足と多様な人材の議会参画が論点になるなかで、標準会議規則は議会改革の進度を全国一斉に底上げする装置として働いた。
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