拘束力とは、取消判決が確定したとき、行政庁その他の関係行政庁が判決の趣旨に従って行動する義務を負う効力をいう(行政事件訴訟法第33条)。
処分を取り消す判決が出ても、行政庁が同じ理由で同じ処分を繰り返せるなら、私人は何度争っても救済されない。拘束力は、取消判決の趣旨に行政庁を縛り、こうした蒸し返しを封じる効力である。
拘束力により、行政庁は判決で違法とされた理由と同一の理由で同じ処分をすることができず、申請を拒否した処分が取り消された場合には改めて申請に対する処分をやり直す義務を負う。効力が及ぶのは当事者の行政庁だけでなく、関係する他の行政庁にも及ぶ。処分そのものを当然に消滅させる形成力と異なり、拘束力は行政庁の将来の行動を規律する点に特徴があり、両者が取消判決の効力を構成する。
反復禁止効と再処分義務
拘束力の中核は、行政庁が判決で示された違法事由と同一の理由・同一の事情のもとで同じ処分を反復することを禁じる点にある(反復禁止効)。たとえば理由不備を理由に不許可処分が取り消された場合、行政庁は同じ理由で再び不許可にすることはできない。ただし、別個の適法な理由があればその理由で改めて処分することは妨げられない。また、申請を拒否する処分が取り消されたときは、行政庁は判決の趣旨に従って改めて申請に対する処分をやり直す義務(再処分義務)を負う。これにより、取消判決が単なる白紙還元に終わらず、私人の申請が適正に処理されることが担保される。
形成力との違いと及ぶ範囲
拘束力は形成力としばしば対比される。形成力は確定判決によって処分の効力を当然に消滅させる効力で、過去に向いている。これに対し拘束力は、判決後の行政庁の行動を規律する効力で、将来に向いている。拘束力が及ぶのは取消訴訟の被告となった行政庁に限られず、行政事件訴訟法33条1項は当事者たる行政庁その他の関係行政庁を拘束すると定める。したがって、処分庁から事務を引き継いだ庁や、関連する処分を担う庁も判決の趣旨に従う義務を負い、行政組織を横断して判決の実効性が確保される。
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