ジチテン

形成力

読み:けいせいりょく

意味

形成力とは、取消判決が確定したとき、行政庁による特段の行為を要さずに、処分の効力が当然に遡って消滅する効力をいう。

処分を取り消す判決が出ても、行政庁が改めて取消手続をしなければ効力が残るとすれば、勝訴した私人の救済は宙に浮く。形成力は、取消判決の確定によって処分が判決の時点を待たず当然に消滅するとし、この空白を埋める効力である。

形成力により、取消判決が確定すると処分は初めから存在しなかったものとして扱われ、行政庁が職権で取り消す行為は不要となる。さらに行政事件訴訟法32条は、取消判決の効力が訴訟当事者だけでなく第三者にも及ぶと定めており、これを対世効と呼ぶ。形成力は処分の効力を消す側面、拘束力は行政庁に判決の趣旨に従った対応を義務づける側面で、取消判決の効力は両者で構成される。

遡及効と第三者効

取消判決が確定すると、処分は当初に遡って効力を失い、最初から存在しなかったものとして扱われる。これが形成力の遡及効である。行政庁が改めて取消処分をしなくても効果が生じる点で、職権取消しとは異なる。さらに行政事件訴訟法32条1項は、処分または裁決を取り消す判決は第三者に対しても効力を有すると定める。これを対世効(第三者効)といい、たとえば営業許可を競業者が争って取り消した場合、その効果は許可を受けていた者にも及ぶ。判決の効果が当事者限りにとどまらないため、利害を持つ第三者には訴訟参加や第三者の再審の訴えといった手続的保障が用意されている。

拘束力との役割分担

取消判決の効力は形成力だけでは完結しない。形成力は処分の効力を消滅させるにとどまり、行政庁が同じ理由で再び同じ処分をすることまでは当然には防げない。そこで行政事件訴訟法33条が拘束力を定め、取消判決は当事者である行政庁その他の関係行政庁を拘束し、判決の趣旨に従って改めて処分をやり直す義務などを課す。形成力が「過去の処分を消す」効力であるのに対し、拘束力は「将来の行政庁の対応を縛る」効力であり、両者が組み合わさって初めて取消訴訟による救済が実効性を持つ。

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