地方公務員災害補償法とは、地方公務員の公務上の災害と通勤による災害に対する補償制度を定め、その実施主体として地方公務員災害補償基金を設立する法律である(昭和42年法律第121号)。
職員が公務中に負傷したとき、誰がどの制度で補償するのか。民間労働者なら労災保険だが、常勤の地方公務員には労災保険が適用されず、この法律に基づく補償制度が代わりを務める。本法は1967年に制定され、それまで条例ごとにばらついていた補償を全国一本の制度に統一した。最大の特徴は、補償の認定と給付を任命権者ではなく地方公務員災害補償基金という全国単一の法人が行うことで、使用者である自治体自身が認定すると生じうる判断の偏りを避ける設計になっている。給付には療養補償・休業補償・傷病補償年金・障害補償・介護補償・遺族補償・葬祭補償があり、国家公務員災害補償法(昭和26年法律第191号)の制度と均衡を保って改正されてきた。所属で被災事案が起きたときは、基金の支部(都道府県・指定都市単位)へ認定請求を進めるのが実務の第一歩になる。
基金による認定という仕組み
補償の認定主体が任命権者でなく地方公務員災害補償基金である点は、実務の流れを規定する。基金は本部のほか各都道府県・指定都市に支部を持ち、支部長は知事・市長が充てられるが、認定事務は基金の組織として行われる。被災職員側は所属を経由して支部に認定請求を行い、公務遂行性と公務起因性の二要件で公務上外が判断される。過労による脳・心臓疾患や精神疾患の事案では認定基準への当てはめが争点になり、認定に不服がある場合は支部審査会への審査請求、さらに訴訟という争訟ルートが用意されている。
常勤・非常勤で分かれる三本立ての適用
本法がそのまま適用されるのは常勤職員(フルタイムの会計年度任用職員を含む)である。それ以外の地方公務員は二系統に分かれ、労働基準法別表第一の事業に従事する現業のパートタイム職員などは民間と同じ労災保険の適用を受け、議会議員・委員や非現業のパートタイム会計年度任用職員などは本法第69条が義務付ける議会議員等公務災害補償条例による補償の対象になる。同じ職場の被災でも任用形態で根拠制度が変わるため、人事担当はまず被災者の任用区分から適用制度を特定することになる。
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