ジチテン

労災保険

読み:ろうさいほけん

別名:労働者災害補償保険
意味

労災保険とは、労働者が業務上または通勤途上で負傷・疾病・障害を負ったり死亡したりした場合に、本人や遺族に必要な補償給付を行う、政府が管掌する社会保険である。

社会保障の5本柱のうち、業務上・通勤途上の事故やけがに備えるのが労災保険である。保険者は国であり、自治体が直接運営に関わる制度ではないが、業務災害で障害が残った住民の障害年金や、被災労働者の遺族への支援を考えるとき、福祉部門は他制度との給付調整を理解しておく必要がある。労災保険は、療養補償給付(治療費)、休業補償給付(休業中の所得保障)、障害補償給付、遺族補償給付、傷病補償年金、介護補償給付などからなり、業務に起因する負傷・疾病・障害・死亡を幅広くカバーする。保険料は全額を事業主が負担し、労働者の負担はない点が他の社会保険と大きく異なる。給付水準は被災前の賃金(給付基礎日額)を基礎に算定される。労災保険の給付を受けられる場合、同一の事由について健康保険や障害年金などとの間で給付の調整が行われるため、福祉の窓口では受給状況の確認が欠かせない。

補償給付の体系と事業主負担の原則

労災保険の給付は、業務災害と通勤災害のいずれにも対応する。療養に要する費用を支える療養補償給付、療養のため働けない間の所得を補う休業補償給付、障害が残ったときの障害補償給付(程度に応じて年金または一時金)、死亡した場合の遺族補償給付、療養が長期化したときの傷病補償年金、重度の障害で介護を要するときの介護補償給付などが体系的に用意されている。給付額は被災前の賃金を基礎とする給付基礎日額をもとに算定される。最大の特徴は、保険料を全額事業主が負担し労働者は拠出しない点で、これは労災補償が本来は使用者の災害補償責任を保険化したものであることに由来する。療養補償給付には自己負担がないなど、健康保険より手厚い面がある。

他制度との給付調整と福祉実務での留意点

同一の傷病や障害について、労災保険の給付と健康保険・公的年金などの給付が重複しうる場面では、給付の調整が行われる。たとえば業務上の傷病の治療には労災保険が優先して適用され、健康保険は使えない。障害が残った場合、労災保険の障害補償年金と厚生年金等の障害年金が併給されるときは、労災側が一定率で減額調整される。生活保護では、労災保険の給付も収入として認定され、補足性の原理により他法他施策として優先される。福祉部門が被災労働者やその遺族を支援する際は、労災の支給決定の有無や給付内容を確認しないと、年金や保護費との二重給付や逆に支援漏れを招くため、受給状況の把握が実務の出発点となる。

つながりのある用語

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