CDO(最高デジタル責任者、Chief Digital Officer)とは、組織のデジタル変革(DX)を統括し、その推進を牽引する責任者の職名である。自治体では首長の下でDX推進の戦略立案と部署横断の変革の指揮を担い、民間出身の外部人材を登用する例が目立つ。
DX推進計画を策定し推進本部を設けても、部署をまたぐ変革は誰かが旗を振らなければ動かない。情報システム部門に委ねれば従来業務の電子化で止まりがちで、企画部門に置けば技術の裏付けを欠く——この空白を埋める職として置かれるのがCDOである。自治体では2019年11月に福島県磐梯町が全国で初めて設置し、神奈川県のような都道府県にも広がった。役割の軸は既存システムの維持管理ではなく、業務や組織、住民サービスを作り替える変革の指揮にあり、民間企業でDXを率いた人材を非常勤特別職といった形で外部から迎える例が目立つ。総務省の自治体DX推進計画も首長を最高責任者とする全庁的な推進体制の整備を促しており、CDOやCIO補佐官はその体制の要に位置づく。なお同じ略語はChief Data Officer(最高データ責任者)の意味でも使われるため、文書でCDOの語に出会ったときは、デジタル変革の責任者かデータ戦略の責任者か、どちらを指すのかを文脈で確かめたい。
CIO・CISOとの分担——三つの「C」は何が違うか
CIO(最高情報統括責任者)は情報政策と情報システムの統括職で、副市長や副知事といった特別職の充て職が一般的である。CISO(最高情報セキュリティ責任者)はセキュリティ対策の統括で、CIOと同一人物が兼ねる団体も珍しくない。CDOはこの2職と性格が異なり、システムの管理や防御ではなく、業務プロセスや住民サービスを作り替える変革の牽引を任務とする。もっとも三者の線引きは団体ごとに揺れており、CIOがCDOを兼ねる団体もあれば、CDOの下にCDO補佐官を置いて実務を委ねる団体(磐梯町が先例)もある。肩書を置くだけでは機能せず、予算要求や組織改編への関与、首長へ直言できる経路といった権限の裏付けが伴うかどうかが、設置の成否を分ける。
外部登用の実際——磐梯町の先例と財政措置
福島県磐梯町は2019年11月1日、一般社団法人の代表を委嘱する形で自治体初のCDOを設置し、翌年にはデジタル変革戦略室の設置と戦略策定へ進んだ。人口3,000人台の町が先陣を切ったことは、デジタル変革の体制づくりが団体規模を問わないことを示し、以後、都道府県から市町村まで設置が続いた。総務省は市町村が外部のデジタル人材をCIO補佐官等として任用する経費に特別交付税措置を講じており、週数日勤務や複業・リモート勤務を認めた登用、複数団体での専門人材の共同活用といった形態も広がっている。一方で、任期付き・非常勤の外部人材に変革を委ねきると庁内に知見が残らないという緊張があり、職員のデジタル人材育成や内製化と両輪で進めるかが定着の分かれ目になる。
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