魚がすめなくなった川や、アオコで緑色に濁った湖は、水質汚濁の典型的な姿である。水質汚濁は典型七公害の一つで、工場・事業場からの排水や、家庭の台所・トイレから流れ出る生活排水に含まれる有機物や有害物質が、公共用水域に蓄積して起こる。規制の中心は水質汚濁防止法で、特定の施設を持つ工場・事業場が公共用水域へ排水する際の排水基準を定め、これを超える排出を禁じる。都道府県と政令市などは、河川や海域に測定地点を設けて水質を継続的に調べ、生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)などの指標を環境基準と比べて管理する。排水基準を守らない事業場への立入検査や改善指導も自治体の役割である。
排水規制と上乗せ・横出し基準
水質汚濁防止法は、有害物質を使う施設や汚水を多く出す施設を「特定施設」と定め、これを設置する工場・事業場が公共用水域へ排水する水について全国一律の排水基準を課す。基準には、人の健康に関わる有害物質(カドミウム・鉛など)の基準と、BOD・COD・浮遊物質量など生活環境に関わる項目の基準がある。ここで特徴的なのが、都道府県が条例で国の基準より厳しい基準を定められる仕組みである。汚れの目立つ水域に合わせて濃度をより厳しくする「上乗せ基準」や、国が定めていない項目・施設を条例で規制対象に加える「横出し基準」がそれで、地域の実情に応じた上乗せができる点に水質規制の柔軟さがある。基準を超えた排水には改善命令や排出停止命令が出される。
閉鎖性水域の富栄養化と面源対策
排水規制が進んでも水質がなかなか改善しない場が、湖沼や内湾・内海のような水の出入りが少ない閉鎖性水域である。ここでは、窒素やりんが流れ込んで植物プランクトンが異常増殖する富栄養化が起こり、アオコや赤潮、底層の酸素不足を招く。原因が一つの工場のような点ではなく、農地や市街地、家庭排水など広い面から少しずつ流れ込む面源(ノンポイント)負荷にあるため、発生源を一つ規制すれば済む話にならない難しさがある。このため、特定の湖沼や閉鎖性海域では、汚濁負荷の総量を地域全体で管理する総量規制や、湖沼水質保全特別措置法による計画的な対策がとられてきた。下水道や合併処理浄化槽の整備による生活排水対策も、自治体が担う水質改善の柱である。
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