ジチテン

典型七公害

読み:てんけいななこうがい

別名:典型7公害
意味

典型七公害とは、環境基本法が公害として定める七つの種類、すなわち大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭の総称をいう。これらは公害として法律上明確に位置づけられ、それぞれに対応する規制法が整えられている。

公害とひとくちに言っても、その現れ方はさまざまである。典型七公害は、法律が公害として定める七つの種類をまとめて指す言葉で、何が公害にあたるかを示す基本の枠組みとなっている。

環境基本法は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭の七つを公害として定めている。この七種類は、いずれも人の活動に伴って広い範囲に生じ、人の健康や生活環境に被害を及ぼすものという共通の性格を持つ。それぞれに対応して、大気汚染防止法水質汚濁防止法騒音規制法悪臭防止法などの個別の規制法が整えられ、発生源に対する規制や測定の仕組みが定められている。住民から市町村に寄せられる公害の苦情も、この七種類ごとに分類して把握されることが多く、典型七公害は、公害行政を進めるうえでの共通の物差しとなっている。

七種類ごとの規制法

典型七公害が実務で重要なのは、それぞれに対応する規制法が整えられ、公害対策の体系の骨格をなしているためである。大気の汚染には大気汚染防止法が、工場のばい煙や粉じん、自動車の排出ガスなどを規制する。水質の汚濁には水質汚濁防止法が、工場や事業場からの排水を規制する。騒音には騒音規制法、振動には振動規制法、悪臭には悪臭防止法が、それぞれ規制の基準や測定の方法を定める。土壌の汚染には土壌汚染対策法が、地盤の沈下には地下水の採取を制限する法令が対応する。このように、典型七公害のそれぞれに固有の規制法が用意されていることで、公害の種類に応じたきめ細かな対策が可能となっている。公害の苦情を受けた市町村は、その苦情がどの種類の公害にあたるかを見極め、対応する規制法に基づいて発生源を調査し、指導を行う。

苦情対応の実務における位置づけ

典型七公害の枠組みは、市町村の公害行政の現場、とりわけ苦情対応の実務で日常的に用いられる。住民から寄せられる環境に関する苦情は、騒音や悪臭、大気の汚染といった種類に分類して受け付けられ、統計としても種類ごとに集計される。近年の傾向として、騒音や悪臭といった、感覚に訴え生活に身近な公害の苦情が多くを占める。これらは、数値による基準だけでは割り切れず、受け止め方に個人差があるため、対応が難しい。一方、典型七公害に含まれない日照の阻害や眺望の問題、近隣紛争などの苦情も実際には多く寄せられるが、これらは公害の規制法の対象外であり、当事者間の話合いや民事の解決にゆだねられる。典型七公害にあたるか否かは、市町村が規制権限をもって対応できるかどうかの分かれとなるため、苦情の振り分けの出発点となる。

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