公害とは、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭によって、人の健康または生活環境に係る被害が生じることをいう(環境基本法)。
経済活動や日々の暮らしは、ときに周囲の環境を損ない、人々の健康や生活を脅かす。公害は、こうした人の活動に伴って広い範囲に生じる環境の汚染や被害を指し、その防止は環境行政の出発点となってきた。
環境基本法は、公害を、事業活動などに伴って相当範囲にわたって生じる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭の七つによって、人の健康や生活環境に被害が生じることと定めている。高度経済成長期には、工場からの排煙や排水によって深刻な健康被害が各地で発生し、これを契機に公害を防ぐための法制度が整えられた。今日では、特定の発生源による激しい産業公害は減ったものの、自動車の排出ガスや近隣の生活騒音など、身近な発生源による公害が課題となっている。住民から寄せられる苦情への対応は、市町村の環境部門の日常的な業務である。
典型七公害という枠組み
公害を理解する基本となるのが、環境基本法が定める七つの種類、すなわち典型七公害という枠組みである。大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭の七つが、法律上の公害として位置づけられている。この枠組みは、何が公害にあたるかを明確にし、それぞれに対応する規制法を整える土台となってきた。大気の汚染には大気汚染防止法、水質の汚濁には水質汚濁防止法、騒音には騒音規制法というように、典型七公害のそれぞれに対応する個別の法律が定められている。一方で、日照や眺望の阻害、電波の障害などは、生活上の問題ではあっても、この典型七公害には含まれず、公害としての規制の枠組みの外にある。何が公害として扱われるかという線引きは、規制や救済の及ぶ範囲を画する重要な意味を持つ。
産業公害から都市生活型公害へ
公害の姿は、時代とともに変化してきた。高度経済成長期に深刻化したのは、特定の工場や事業場を発生源とし、激しい健康被害を引き起こす産業公害であった。これに対しては、発生源を直接規制する法制度が整えられ、大規模な産業公害は大きく減少した。代わって今日の課題となっているのが、都市生活型公害と呼ばれるものである。自動車の排出ガスによる大気汚染、生活排水による水質の汚濁、近隣の事業場や生活に伴う騒音や悪臭など、発生源が多数に分散し、住民自身もまた発生源となりうる公害である。発生源が特定の事業者に限られないため、規制だけでは解決しにくく、住民の理解や生活様式の見直しを含めた取組みが必要となる。公害対策の重心は、特定の発生源の規制から、社会全体での環境負荷の低減へと移ってきている。
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