上乗せ条例とは、大気汚染防止法や水質汚濁防止法などの法律が定める全国一律の規制基準より厳しい基準を、地域の実情に応じて条例で定めるものである。
工場が集中して環境基準の達成が難しい地域で、自治体が国の基準だけでは足りないと判断したときに用いるのが上乗せ条例である。大気汚染防止法・水質汚濁防止法などは、法律自体が、都道府県が条例でより厳しい排出基準を定めることを認めている。これにより、汚染が深刻な地域では国の一律基準を超える厳格な規制を課せる。これに対し、法律が規制していない物質や施設を条例で新たに規制対象に加えるのが横出し条例であり、両者は区別される。上乗せ基準を超えた事業者には、改善命令や罰則が法律と同じ枠組みで及ぶ。地域の汚染状況や産業構造を踏まえて基準を組み立てるため、自治体ごとに規制の厳しさが異なる。
上乗せと横出しの違い
環境規制の条例には、性質の異なる二つの上乗せがある。狭義の上乗せ条例は、法律が定める排出基準の「数値」を地域限定でより厳しくするものを指す。たとえば水質汚濁防止法の排水基準について、特定の水域に流す事業場へ全国基準より低い濃度を求めるのがこれに当たる。一方、横出し条例は、法律が規制していない「対象」を条例で新たに規制範囲に加えるものを指す。法律が定めていない物質や、規模が小さく法の対象外の施設を規制対象とする例がある。両者は混同されやすいが、数値を厳しくするのが上乗せ、範囲を広げるのが横出しと整理すると分かりやすい。
法律が条例の上乗せを認める構造
上乗せ条例が成り立つのは、大気汚染防止法や水質汚濁防止法といった個別法が、明文で都道府県の条例による厳格化を許容しているからである。法令の全国一律基準を最低限の枠とし、地域の実情に応じた上積みを自治体に委ねる構造になっている。これにより、地域ごとの汚染実態に即した規制が可能になる一方、立地する地域によって事業者が負う基準が変わる。条例による上乗せ基準に違反した場合の改善命令や罰則は、法律の仕組みに乗る形で適用されるのが一般的である。
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