ジチテン

改善命令

読み:かいぜんめいれい

意味

改善命令とは、廃棄物処理法・大気汚染防止法などの行政法令に基づき、施設の構造や処理の方法が法令の基準に適合していない者に対し、都道府県知事等が期限を定めて基準に適合させるための措置を講ずべきことを命じる行政処分である。

立入検査処理基準に合わない焼却炉や、排出基準を超えた工場の排水を見つけたとき、自治体はいきなり操業を止めさせるのではなく、まず何をどう直させるのか。改善命令は、処理の方法や施設の構造が基準に適合していない事業者に対し、期限を区切って適合させる措置を命じる行政処分であり、環境分野の監督権限の中核に位置する。廃棄物処理法では、処理基準・委託基準に適合しない収集運搬や処分を行った者に対し、知事が支障の除去等の措置を命じることができ(第19条の3)、これに従わなければ事業の停止命令や許可の取消しといった重い処分へ段階が上がる。

改善命令は、原因者の負担で支障の除去まで命じる措置命令とは局面が違う。措置命令が生活環境保全上の支障やそのおそれが現に生じた場面の原状回復を主眼とするのに対し、改善命令は基準違反の状態そのものを将来に向かって是正させる点に重きがある。大気汚染防止法水質汚濁防止法騒音規制法など個別の公害規制法にも同名の命令が置かれており、ばい煙・排出水・騒音が基準を超えたときに施設の改善や使用方法の変更を命じる。命令は不利益処分であるため、行政手続法に基づく弁明の機会の付与などの事前手続を経て発せられ、従わない場合には罰則が科される。実務では、命令に至る前の行政指導で是正が図られる例が多く、改善命令はそれでも是正されない場合の法的な担保として機能する。

廃棄物処理法における改善命令と段階的措置

廃棄物処理法第19条の3は、処理基準・委託基準・保管基準に適合しない収集運搬または処分を行った者などに対し、都道府県知事等が期限を定めて処理の方法の変更その他必要な措置を命じることができると定める。命令の名宛人は、基準違反を行った排出事業者・処理業者のほか、委託基準に違反して委託した者にも及ぶ。改善命令は監督処分の中で比較的軽い段階に位置し、これに従わない場合や違反が悪質な場合には、事業の全部または一部の停止命令、さらに許可の取消し(第14条の3の2など)へと処分が重くなる。命令違反には罰則が科され、産業廃棄物に係る改善命令違反は懲役または罰金の対象となる。改善命令は不利益処分であるから、発出にあたっては行政手続法に基づく弁明の機会の付与または聴聞を要し、命令書には根拠条文・違反事実・改善すべき内容と期限が記載される。

個別の公害規制法に置かれた改善命令

大気汚染防止法・水質汚濁防止法・騒音規制法・振動規制法などの公害規制法にも、それぞれ改善命令の規定が置かれている。これらの法律では、ばい煙発生施設・特定施設からの排出が排出基準・排水基準を超え、または超えるおそれがあるときに、都道府県知事が施設の構造・使用方法・処理方法の改善や一時停止を命じることができる。命令の前提として、通常は計画変更命令や行政指導が先行し、基準超過が繰り返されたり改善の見込みがない場合に改善命令が発せられる。命令に従わなければ罰則が適用され、施設の使用停止命令へ進むこともある。自治体の環境担当課は、立入検査や常時監視で基準超過を把握した際、まず行政指導で是正を促し、それでも改善されない事案について改善命令の発出を検討するため、超過の事実・指導経過・改善の見込みを記録に残しておく必要がある。

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)