公共用水域とは、水質汚濁防止法に基づき、河川・湖沼・港湾・沿岸海域その他公共の用に供される水域と、これらに接続する公共溝渠・かんがい用水路などの水路の総称をいう。
水質汚濁防止法による排水規制は、工場・事業場の排水口の先に何があるかで適用の有無が決まる。その「先」を画する概念が公共用水域である。水質汚濁防止法2条1項は、河川・湖沼・港湾・沿岸海域その他公共の用に供される水域と、これらに接続する公共溝渠・かんがい用水路その他公共の用に供される水路を公共用水域と定義する。一方、終末処理場を備えた公共下水道や流域下水道の管渠は公共用水域から除かれ、これらへ排出される水は下水道法の規制対象となる。事業場が排出する水を公共用水域へ流す場合に排水基準が適用され、基準を超える有害物質等を含む水を排出すれば改善命令や罰則の対象となる。環境基準のうち生活環境項目・健康項目は公共用水域の水質について類型ごとに設定され、都道府県は公共用水域の水質測定計画を定めて常時監視を行う。同じ排水でも公共下水道へ流すか公共用水域へ流すかで適用法令が分かれるため、立地と放流先の確認が規制対応の出発点となる。
公共用水域か下水道かで適用法令が分かれる
公共用水域の定義の実務上の要点は、何が含まれ何が除かれるかの線引きにある。水質汚濁防止法2条1項は、河川・湖沼・港湾・沿岸海域その他公共の用に供される水域と、これらに接続する公共溝渠・かんがい用水路を公共用水域とする。重要なのは、終末処理場を設置している公共下水道・流域下水道の管渠が公共用水域から明文で除外される点である。事業場の排水が公共用水域へ直接流れる場合は水質汚濁防止法の排水基準が、公共下水道へ流れる場合は下水道法に基づく下水排除基準が適用され、規制の根拠法・基準・届出先が変わる。同じ工場の同じ排水でも、放流先が用水路(公共用水域)か下水道管かで適用される仕組みが異なるため、特定施設の届出や水質管理ではまず放流先の区分を確認する。
環境基準の設定と常時監視の単位
公共用水域は、水質に関する環境基準を当てはめる単位としても機能する。生活環境の保全に関する環境基準(BOD・COD・SS等)は、河川・湖沼・海域という公共用水域の種類ごとに利用目的に応じた類型を設け、水域を指定して適用される。人の健康の保護に関する環境基準(カドミウム・鉛等の有害物質)は全公共用水域に一律に適用される。都道府県知事は水質汚濁防止法16条に基づき公共用水域の水質測定計画を作成し、関係機関と分担して常時監視を行う。測定結果は環境基準の達成状況の評価や、上乗せ基準・総量規制の必要性の判断材料となる。公共用水域の汚濁状況の把握が、排水規制を実情に合わせて運用する基盤になっている。
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