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ジチテン

主権者教育

読み:しゅけんしゃきょういく

意味

主権者教育とは、住民とりわけ若い世代が、政治や選挙の仕組みを理解し、社会の出来事を自分の問題として捉えて判断し、投票などの行動につなげる力を育てる教育・啓発活動の総称である。

2016年夏の参議院議員選挙から、高校3年生の一部が有権者として投票するようになった。選挙権年齢の18歳への引き下げは、政治を教室でどう扱うかという積年の宿題に期限を切り、主権者教育という言葉を一気に政策の中心へ押し上げた。総務省文部科学省は2015年に副教材「私たちが拓く日本の未来」を作成して全国の高校生に配布し、市区町村の選管は、選挙出前授業で実物の投票箱や記載台を学校に持ち込み、生徒会選挙や模擬選挙の運営を手伝う。教育委員会と選管という、ふだん接点の少ない二つの組織の連携がこの分野の骨格である。

背景には若年層の投票率の長期低落がある。初めて迎えた選挙で投票した人はその後も投票し続ける傾向が知られており、有権者になる前後の働きかけは効率のよい啓発と位置づけられる。対象は高校生に限らず、小中学生の選挙体験、大学との連携講座、成人式での啓発まで裾野は広がり、明るい選挙推進協議会などの地域組織も担い手になっている。

18歳選挙権と副教材——2015年からの展開

2015年6月に公職選挙法改正され、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた(2016年6月施行)。約70年ぶりの選挙権の拡大で、新たに約240万人が有権者に加わった。総務省と文部科学省が共同で作成した副教材「私たちが拓く日本の未来」は、選挙の仕組みや政策の比較の仕方に加え、討論や模擬選挙、模擬議会の進め方を収めた実践集で、全国の高校に行き渡った初めての主権者教育教材になった。高校では同じ教室に有権者と非有権者が混在し、選挙運動ができる生徒とできない生徒が並ぶため、学校は公職選挙法の規制そのものを教える役割も負う。選管側では出前授業や模擬選挙の依頼が急増し、投票箱や記載台の貸出し、職員の講師派遣が啓発事業の定番になった。

政治的中立性との緊張関係

主権者教育は、現実の政治を扱うほど効果が上がる一方で、学校教育の政治的中立とぶつかる。教育基本法第14条は、良識ある公民として必要な政治的教養を教育上尊重すべきものとしつつ、特定の政党を支持しまたは反対するための政治教育を禁じており、教員はこの二つの要請の間で授業を設計することになる。文部科学省は2015年10月の通知で、高校生の政治的活動を事実上禁じてきた1969年の通知を46年ぶりに見直し、現実の具体的な政治的事象を扱う指導を認めるとともに、放課後や休日の校外における高校生の政治活動を一定の条件の下で容認した。それでも、論争のあるテーマを扱って保護者や議会から批判を受けることへの懸念から、教員が現実の政治に踏み込むことをためらう萎縮の問題が指摘されており、複数の立場の資料を併記する、結論を誘導しないといった授業の作法が実践の蓄積として共有されつつある。

つながりのある用語

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