ジチテン

政治的中立性

読み:せいじてきちゅうりつせい

別名:政治的中立
意味

政治的中立性とは、行政が特定の政党や政治勢力に偏らず、いずれの政権のもとでも公正かつ安定して職務を遂行すべきとする、公務運営上の原則をいう。

選挙で政権が交代しても、住民への行政サービスが党派的に左右されてよいわけではない。誰が首長や政権に就いても行政が公正に動き続けることを支える価値が、政治的中立性である。地方公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないという憲法上の地位から、その職務遂行は特定の政治的立場に左右されてはならないとされる。この原則は、職員個人に政治的行為の制限を課す服務規律として具体化されるほか、成績主義による任用人事委員会教育委員会等の行政委員会の独立性といった制度の趣旨を貫く。とりわけ教育や警察の分野では、政治的中立性の確保が委員会制や法令上の仕組みの直接の目的とされる。政治的中立性は条文上の一語というより、複数の服務・組織・任用の制度が共通して守ろうとする基底的な価値である。

服務規律としての具体化

政治的中立性は、地方公務員に対する服務規律として具体的な形をとる。地方公務員法は、職員が政党その他の政治的団体の結成に関与し、又は特定の政治的目的をもって一定の政治的行為を行うことを制限する(政治的行為の制限)。これは、公務員が全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないという地位から、その職務遂行が特定の政治勢力に利用されたり、住民に党派的な疑念を抱かせたりすることを防ぐ趣旨である。さらに成績主義による任用は、情実や政治的関係による任用を排し、政権の交代によって職員の地位が左右されないことを担保する。すなわち政治的中立性は、政治的行為の制限という個人レベルの服務義務と、能力本位の任用という制度レベルの仕組みの両面から支えられている。

組織制度による担保

政治的中立性は、個々の職員の服務にとどまらず、行政組織の作り方そのものによっても担保される。教育委員会や公安委員会、人事委員会といった行政委員会(執行機関の多元主義の一環として置かれる合議制機関)は、首長から一定の独立性をもつ合議制とすることで、特定の政治的立場が行政の判断を直接左右しないようにする仕組みである。とりわけ教育行政では、教育の政治的中立性と継続性・安定性の確保が委員会制を採る主要な理由とされ、教科書採択や教育内容に関する判断が党派的圧力から守られることが想定されている。警察行政でも、公安委員会が警察を管理することで政治的中立性と民主的統制の両立が図られる。政治的中立性は、服務規律と組織設計という二層の仕組みによって実効性を与えられている。

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