親子再統合支援事業とは、児童福祉法第6条の3第15項に基づき、親子の再統合が必要と認められる児童とその保護者に対し、児童虐待の防止に資する情報の提供、相談・助言その他の支援を行う事業である。
虐待などで施設入所や里親委託に至った親子は、分離して終わりではない。措置された子どもの相当数はいずれ家庭に戻るか、戻らないまでも親との関係を抱えて生きていくため、分離後に親の養育力と親子関係をどう立て直すかが社会的養護の積年の課題だった。親子再統合支援事業は、この保護者支援と関係修復を都道府県(指定都市・児童相談所設置市を含む)の事業として法定化したもので、2022年の児童福祉法改正により2024年4月から施行された。内容としては、ペアレントトレーニングなどの保護者支援プログラム、親子の面会や交流の場の提供と立会い、心理的なカウンセリング、家庭復帰後の見守りまでが想定され、民間団体への委託もできる。ここでいう再統合は物理的な家庭復帰と同義ではなく、復帰が難しい場合に無理のない距離で親子関係を保ち続けることも含む広い概念であり、子どもの安全を損なわずに親との肯定的なつながりを回復することが目標に置かれる。
「再統合」の射程——家庭復帰に限らない
国の運用では、再統合は家庭復帰だけを指さない。厚生労働省が2014年にまとめた親子関係再構築支援の指針は、親子関係の再構築を、子どもと親が相互の肯定的なつながりを主体的に回復することと捉え、家庭復帰のほか、分離を続けながら面会や交流で関係を保つこと、交流を持てない場合に子どもが生い立ちを整理して親を理解することまでを支援の射程に含めた。家庭復帰を唯一のゴールにすると、復帰ありきの拙速な引き取りや、復帰見込みのない子への支援の空白を生む。再統合を急いだ家庭復帰直後の重大事例は死亡事例検証でも繰り返し指摘されており、交流の再開や復帰の判断で子どもの安全評価を欠かせない点は、この事業がケースワークの代替ではなく補強である理由でもある。
児童相談所・施設の実務との接続
従来も家庭復帰の支援が存在しなかったわけではない。児童相談所は児童福祉司指導などの措置で保護者を指導し、児童養護施設などには家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)が配置され、児童虐待防止法は都道府県知事による保護者への指導勧告を、児童福祉法は施設入所等の承認審判の際に家庭裁判所が保護者指導を勧告できる仕組みを用意してきた。事業化の意味は、児童相談所と施設の個別努力に依存し地域差の大きかった保護者支援を、予算と委託の枠組みを持つ独立の事業に束ねた点にある。保護者支援プログラムの実施を民間団体や児童家庭支援センターに委託し、措置中から措置解除後まで一貫して同じ支援者が関わる体制を組めるようになった。
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