墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)とは、墓地・納骨堂・火葬場の経営許可と埋葬・火葬・改葬の許可手続を定め、埋葬等が国民の宗教的感情に適合し公衆衛生上の支障なく行われるようにする法律である。
住民が亡くなったとき火葬の許可を出すのは誰か。寺院から「墓地を拡張したい」という相談が来たらどの窓口が受けるのか。その双方の根拠が昭和23年制定の墓地埋葬法である。死体の埋葬・火葬は市町村長の許可を要し(第5条)、死亡届の受理と同時に埋火葬許可証を交付する事務は市区町村の窓口で毎日発生する。死後24時間以内の火葬の原則禁止(第3条)、墓地以外への埋葬の禁止(第4条)も同法の定めである。一方、墓地・納骨堂・火葬場の経営許可(第10条)は法文上は都道府県知事の権限だが、地方分権の一括法による移譲で市・特別区では市長・区長が担い、町村部のみ都道府県に残る。許可証の交付は市民課、経営許可と墓地の監督は環境衛生部局や保健所と、一つの法律が複数の所属にまたがって動く点が特徴で、埋葬・火葬を行う者がないときに死亡地の市町村長が火葬を行う義務(第9条)は、引き取り手のない遺体の増加で存在感を増している。
墓地経営許可と「地方公共団体原則」
墓地・納骨堂・火葬場を経営しようとする者は許可を要するが(第10条)、誰が経営主体になれるかを法律は定めていない。この空白を埋めてきたのが国の通知・指針による運用で、経営主体は市町村等の地方公共団体が原則、それが難しい場合も宗教法人・公益法人等に限るという考え方が示されてきた。営利企業が宗教法人の名義を借りて霊園を開発する「名義貸し」が紛争の典型で、許可審査では経営の永続性と非営利性、隣接地住民との調整状況を確認する。墓地は一度設置されると廃止が極めて難しく、経営破綻すれば利用者の遺骨と管理責任が宙に浮くため、審査は将来の管理不全を見越して行う。
墓じまい時代の改葬許可と無縁墳墓
墓に納めた遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す改葬にも市町村長の許可が必要で(第5条)、申請には移転先の受入証明と現墓地の埋蔵証明を添える。衛生行政報告例によると改葬は年間15万件を超える水準まで増えており、いわゆる墓じまいの相談は窓口業務として定着した。縁故者が分からなくなった無縁墳墓を墓地経営者が整理する場合は、施行規則に基づき官報への掲載と墳墓への立札設置で1年間申出を待つ特例手続を踏む。総務省行政評価局が2023年に公表した調査は、公営墓地で無縁墳墓が増え管理費用の回収も難しくなっている実態を明らかにしており、公営墓地を抱える市町村にとって合葬式墓地への転換や使用者の生前確認は避けて通れない課題になっている。
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