低炭素建築物とは、都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)に基づき、市街化区域等内における二酸化炭素の排出抑制に資する建築物の新築等の計画が所管行政庁の認定を受けた建築物である。
省エネ基準を満たすだけでなく、その先を行く建築物をどう増やすか——低炭素建築物の認定は、上乗せ性能に容積率と税の優遇で報いる誘導策である。2012年制定のエコまち法は、都市機能の集約と建築物の低炭素化を一体で進める法律で、建築主が低炭素化のための新築・改修等の計画を所管行政庁(建築主事を置く市区または都道府県)に申請し、認定を受けると「低炭素建築物」を名乗れる。認定基準は省エネ基準を上回る誘導水準のエネルギー消費性能が軸で、令和4年の基準引上げにより再生可能エネルギー利用設備の導入も要件に組み込まれた。認定のメリットは、蓄電池や蓄熱槽など低炭素化設備の床面積を延べ面積の20分の1まで容積率に算入しない特例と、住宅では認定長期優良住宅と並ぶ「認定住宅」としての住宅ローン減税や登録免許税の優遇である。対象が市街化区域等に限られる点に、まちをコンパクトに保ちながら低炭素化するという法律の思想が表れている。建築指導課や住宅課にとっては、長期優良住宅と窓口を共有する認定事務の一つである。
認定長期優良住宅との使い分け
住宅の認定制度として、低炭素建築物は認定長期優良住宅と常に並べて検討される。着眼が異なり、長期優良住宅が耐久性、耐震性、維持管理のしやすさといった「長く使える性能」を求めるのに対し、低炭素建築物は省エネ性能と再エネ導入という「環境性能」に特化する。税制上はどちらも認定住宅として住宅ローン減税の借入限度額の上乗せや登録免許税の軽減を受けられるため、建築主は性能向上に掛かるコストと優遇の中身を比べてどちらかを選ぶのが通例である。区域要件も違いがあり、低炭素建築物は市街化区域等(市街化区域と、区域区分のない都市計画区域の用途地域内)に限られる一方、長期優良住宅に区域の縛りはない。市街化調整区域の住宅は低炭素の認定対象にならないという点は、窓口で問い合わせの多い落とし穴である。
エコまち法のもう一つの柱——低炭素まちづくり計画
エコまち法は建築物単体の認定だけでなく、市町村が低炭素まちづくり計画を作成して都市機能の集約、公共交通の利用促進、緑地の保全、エネルギーの面的利用を進める枠組みを持つ。計画に位置づけた集約都市開発事業には容積率等の特例があり、立地適正化計画とともにコンパクトシティ政策の道具立てを構成する。建築物の認定制度は計画の有無にかかわらず市街化区域等で使えるため、住宅単体の認定事務だけを担う自治体と、まちづくり計画まで踏み込む自治体に分かれているのが実態である。脱炭素の文脈では、省エネ基準適合義務化後の上乗せ水準としてZEH・ZEB化を促す国の施策群と重なって機能しており、認定基準も省エネ法側の基準改定と連動して引き上げられてきた経緯を押さえると制度の現在地を見失わない。
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