ジチテン

執行機関

読み:しっこうきかん

意味

執行機関とは、地方自治法に基づき、自治体の事務を自らの判断と責任において管理・執行する権限を持つ機関をいい、長と各種の行政委員会がこれに当たる。

自治体の中で「実際に物事を決めて動かすのは誰か」を整理するときの基本概念が執行機関である。議事機関である議会が条例予算を議決するのに対し、執行機関はその議決を受けて事務を実行に移す側に立つ。長(知事・市町村長)が予算編成や職員の指揮など広範な権限を一手に握る一方、政治的中立性や専門性を欠かせない分野は、選挙管理委員会教育委員会などの行政委員会に切り出されている。これを執行機関の多元主義と呼び、長へ権限が集中しすぎないための仕掛けである。住民が首長と議員を別々に選ぶ二元代表制と組み合わさることで、決める側と実行する側が互いに牽制する構造が形づくられている。

長に権限を集めつつ委員会へ分散させる理由

地方自治法は執行機関を長と行政委員会に分けて配置している。長へ事務を集中させたのは責任の所在を明確にし機動的な行政運営を可能にするためだが、それだけでは政治的中立性や公正さが損なわれる分野が出てくる。選挙の管理を首長が握れば与党に有利な運用が疑われ、教職員人事を首長が握れば教育の政治的中立が崩れる。そこで地方自治法第180条の5は教育委員会・選挙管理委員会・人事委員会公平委員会)・監査委員などを必置の委員会として列挙し、長から独立した執行機関に位置づけた。これが執行機関の多元主義であり、長への一元的集中(独任制)と委員会による分散(合議制)の組み合わせで均衡を取る設計である。

附属機関補助機関との区別

執行機関は、自ら対外的に意思決定し事務を執行する点で、附属機関や補助機関と区別される。審議会などの附属機関は調査・審議を行い答申するだけで、自ら処分を下す権限はない。副知事・副市町村長や職員といった補助機関は、執行機関を内部で支えるが独立の執行権限を持たない。窓口で「これは誰の権限で決まるのか」を確かめるとき、最終的に処分の名義人となるのは執行機関(多くは長)であり、附属機関の答申や補助機関の起案はその準備にすぎない。指定管理者のように民間が公の施設を運営する場合も、使用許可の取消しなど処分性のある行為は執行機関に留保されるのが原則である。

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