労働組合法(労組法)とは、労働者が労働組合を結成して使用者と団体交渉を行い労働協約を締結する権利を保障し、使用者の不当労働行為とその救済制度を定める法律である(昭和24年法律第174号)。一般職の地方公務員には地方公務員法第58条第1項により適用されないが、地方公営企業の職員と単純労務職員には適用される。
自治体は、労働組合法に三つの立場で関わる。第一に、一般行政職員にはこの法律が適用されず、職員は労働組合ではなく職員団体を作る。第二に、水道・交通・病院などの地方公営企業の職員と清掃などの単純労務職員には地方公営企業等の労働関係に関する法律を経由して労組法が適用され、自治体はこれらの職員に対して民間に近い労使関係の使用者になる。第三に、都道府県は労組法上の救済機関である都道府県労働委員会を抱え、制度を運営する側にも立つ。「公務員に労働組合法は関係ない」と一括りにすると、この三つの顔の区別がつかなくなり、現業職場の団体交渉や労働協約をめぐる事務を誤る。労働三権を職種ごとに段階づける日本の公務員労働法制は、労組法が保障する権利を原器に、そこからどの権利を残しどれを削るかという形で組み立てられており、職員団体制度を理解するうえでも出発点になる法律である。
誰に適用され、誰に適用されないのか
地方公務員法第58条第1項は、労働組合法・労働関係調整法・最低賃金法とこれらに基づく命令を職員に適用しないと定め、代わりに職員団体制度(同法第52条以下)を置く。一方、地方公営企業の職員には第58条の適用が原則として除外され(地方公営企業法第39条)、地方公営企業等の労働関係に関する法律第4条が、同法に定めのない労働関係の事項を労組法(一部条文を除く)と労働関係調整法によらせる。単純労務職員にはこの仕組みが準用される(地公労法附則第5項)。つまり同じ一般職でも、本庁勤務か公営企業勤務かで適用される労働法制が入れ替わり、人事異動で水道局へ移った職員は職員団体でなく労働組合の世界に入る。会計年度任用職員も、非現業であれば職員団体の側である。指定管理者や委託先の従業員は公務員でないため労組法が全面適用され、庁舎内で働いていても法制上は別世界にいる。
都道府県労働委員会――自治体の中にある労組法の番人
労組法第19条の12は、都道府県知事の所轄の下に都道府県労働委員会を置くと定める。使用者委員・労働者委員・公益委員の三者同数で組織され、委員は知事が任命し、事務局は都道府県職員が担う。担う仕事は、不当労働行為(第7条)の審査と救済命令、労働組合の資格審査、労働関係調整法に基づく労働争議のあっせん・調停・仲裁などで、公営企業職員や単純労務職員の労使紛争もここに持ち込まれる。民間労使の紛争処理という国の労働政策の最前線を、都道府県という自治体の行政委員会が担っている構図であり、自治体が労組法の適用を「受ける」だけでなく「運用する」側にも立つことを示す制度である。命令に不服がある場合は中央労働委員会への再審査か取消訴訟に進む。
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