臨海部のコンビナートや大規模な工業団地は、この地域の指定によることが多い。工業専用地域は、用途地域13種のうち唯一住宅を建てられない地域で、工業の利便増進に純化している。工業地域がどんな工場も建てられたうえで住宅・店舗を認めるのに対し、工業専用地域では同じくどんな工場も建てられる一方、住宅・店舗・学校・病院・ホテルがいずれも建てられない点が違いである。工場専用の環境を確保することで、生産活動と居住・公共施設との衝突を根本から避ける設計になっている。建蔽率は30〜60パーセント、容積率は100〜400パーセントの範囲で都市計画により定められる。住居系から工業系へ向かう連続体のなかで、最も工業に振り切った終点にあたる類型である。
工業専用地域だけが住宅を建てられない仕組み
工業専用地域は、用途地域13種のなかで唯一、住宅・共同住宅を建てられない地域である(建築基準法別表第二・わ項)。工業地域までは住宅の立地が認められていたのに対し、工業専用地域では住宅に加えて店舗・飲食店・物品販売店舗、学校・病院・ホテル・劇場・図書館なども建てられず、許される用途が工場とそれに付随する施設・事務所などに強く絞られる。これは、工場の操業を住環境や公共施設への影響を気にせず行えるよう、居住・生活機能をあらかじめ排除しているためである。臨海部のコンビナートや大規模工業団地でこの地域が用いられ、生産活動と居住とのあいだに生じる騒音・振動・臭気などの衝突を、土地利用の段階で根本的に避ける仕組みとなっている。
工業専用地域が用途地域の連続体で占める終点
工業専用地域は、住居系から商業系・工業系へと用途が移り変わる用途地域の連続体の終点に位置する。住居系では住宅の良好な環境を最優先し、商業系では商業の利便を、工業系では工業の利便を主目的とするが、その工業系のなかでも工業専用地域は工業以外の用途をほぼ排除し、目的に最も純化している。準工業地域がほぼ全用途を受け入れ、工業地域が住宅・店舗を残したのに対し、工業専用地域はそれらを切り捨てて工場専用の土地としている。こうして用途地域は、第一種低層住居専用地域という住環境保護の極から、工業専用地域という工業純化の極まで、両端を専用地域で挟む構成になっている。両極を押さえると、13種それぞれの位置づけが整理しやすい。
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