本文へスキップ
ジチテン

振動

読み:しんどう

意味

振動とは、工場や建設作業、交通などから生じて地盤を伝わる揺れであって、人の生活環境に被害を生じるおそれのあるものである。

工場の大型機械が動くたびに家が小刻みに揺れる、近くの工事で建具がガタつく現象が、公害としての振動である。振動は典型七公害の一つで、地盤を介して伝わる揺れが、人の不快感や建具・家屋への影響をもたらす。音と発生源が重なることが多いが、伝わる媒体が空気ではなく地盤である点で騒音と区別される。規制の柱は振動規制法で、著しい振動を出す工場・事業場の特定施設や、くい打ち機などを使う特定建設作業道路交通振動を対象に、知事や市町村長が指定する地域ごとに規制基準を定める。市町村は、規制地域の指定、振動レベルの測定、苦情への対応や事業者への改善指導を担い、騒音と一体で扱われることが多い公害行政の領域である。

騒音規制法と対をなす規制の構造

振動規制法は、騒音規制法とよく似た構造を持つ。これは、振動の発生源が工場の機械や建設作業、交通など騒音と重なることが多く、同じ枠組みで規律するのが実際的だからである。工場・事業場については、著しい振動を発生させる施設を特定施設として届出させ、規制地域・時間帯ごとの規制基準を課す。建設作業については、くい打ち機やブレーカーを使う作業などを特定建設作業と定め、届出と作業時間の制限を求める。道路交通振動については、道路に面する地域の限度を定め、超過した場合に道路管理者や公安委員会への要請につなげる。このため、現場では騒音と振動を一組の問題として測定・指導することが多い。ただし、人が感じる量を測る指標は振動レベルという独自のもので、地盤の揺れの大きさを評価する点が音圧を測る騒音とは異なる。

地盤を伝う揺れという特性と被害の現れ方

振動が騒音と決定的に違うのは、伝わる媒体が空気ではなく地盤だという点である。音は壁や窓で遮ることである程度防げるが、地盤を伝わる揺れは建物の基礎から伝わってくるため、窓を閉めても止められない。揺れは発生源からの距離だけでなく、地盤の硬軟や地層の構成によって伝わり方が変わり、軟弱地盤では遠くまで伝わりやすい。被害の現れ方も、人が感じる不快感や睡眠の妨げにとどまらず、建具の建て付けの狂いや壁のひび割れなど物的な影響への苦情につながることがある。発生源と被害地点の間に建物所有者の財産被害が絡むため、苦情処理では揺れの大きさの測定に加え、家屋への影響をめぐる主張の食い違いを調整する場面が生じる。地盤というコントロールしにくい媒体を相手にする点に、振動行政固有の難しさがある。

つながりのある用語

上位概念

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)