大規模な工場や倉庫が集まりつつ、その周辺に住宅も点在する地区は、この地域の指定によることが多い。工業地域は、危険性や環境悪化の程度を問わずどんな工場でも建てられる地域で、工業の利便増進を主目的とする。準工業地域が危険性の大きい工場を制限する一方で学校・病院・ホテルを認めるのに対し、工業地域では工場の制限がなくなる代わりに学校・病院・ホテルが建てられなくなる点が違いである。住宅や店舗は建てられるため、工場と住宅が隣り合う市街地も生じる。建蔽率は50〜60パーセント、容積率は100〜400パーセントの範囲で都市計画により定められ、住居系・商業系より上限が抑えられる。住居系から工業系へ向かう連続体のなかで、工業専用地域の手前に位置する類型である。
工業地域でどんな工場も建てられる一方で建てられない施設
工業地域は、危険性の程度や環境悪化のおそれの大小にかかわらず、すべての工場が建てられる点に最大の特徴がある。準工業地域では制限されていた危険・有害な工場も、工業地域では立地できる。そのかわり、工業の利便を主目的とする環境を守るため、学校(幼稚園・小中高)、病院、ホテル・旅館、劇場・映画館などは建てられない(建築基準法別表第二・を項)。住宅・共同住宅・店舗・飲食店・事務所は建築できるため、工場と住宅が混在する地区も現れるが、教育・医療・宿泊など環境への配慮を要する施設は工場との両立が難しいとして除外されている。工場の自由度を最大限に確保しつつ、人が長時間滞在する環境配慮型の施設を切り離した用途構成が、工業地域の輪郭である。
工業地域の建蔽率・容積率が抑えられる意味
工業地域の建蔽率は50〜60パーセント、容積率は100〜400パーセントの範囲で定められ、商業地域や住居地域に比べて上限が抑えられている。これは、工業地域が高層の集積よりも、平面的な広がりを持つ工場・倉庫・物流施設の立地を主に想定しているためである。大型の生産設備や荷さばきスペース、車両動線を確保するには、敷地に対して建物のボリュームを高く積み上げるより、平面的な余地を残す方が合理的である。容積率の上限が400パーセントにとどまることで、商業地域のような超高層の市街地にはならず、工業利用に適した中低層の建物群が形づくられる。用途の自由度は高い一方で、建物の規模はその目的に沿って抑制されている点が、工業地域の形態規制の特徴である。
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