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ジチテン

合併特例法(旧法)

読み:がっぺいとくれいほう

別名:旧合併特例法
意味

合併特例法(旧法)とは、市町村合併の障害を取り除き合併を後押しする特例を定めた時限法であり、正式名称を市町村の合併の特例に関する法律という(昭和40年法律第6号)。延長を重ねたのち平成17年3月31日に失効し、平成の大合併を制度面で支えた。

3,200を超えていた市町村が10年余りで1,700台まで減った平成の大合併は、自然に起きたのではない。国はこの10年限りの時限法を延長しながら特例を積み増し、合併へ誘導する装置として使った。転機は二つの改正である。平成7年改正は、有権者の50分の1の署名で合併協議会の設置を請求できる住民発議制度を導入した。平成11年改正は、対象事業費の95%に充当でき元利償還金の7割が普通交付税で措置される合併特例債と、合併後10年間は旧市町村ごとの算定額の合算を保障する普通交付税の合併算定替を用意した。財政力の弱い小規模町村にこの誘因は強烈に効き、失効期限の平成17年3月31日へ向かう駆け込みが大合併のピークを作った。経過措置として、期限までに都道府県知事へ合併を申請し平成18年3月31日までに合併した場合は旧法の適用が残された。後継の法律が市町村の合併の特例に関する法律(平成16年法律第59号)、いわゆる合併新法である。

アメの構造——合併特例債と算定替が効いた理由

合併特例債は合併市町村のまちづくり事業の95%に充当でき、元利償還金の70%が後年度の普通交付税の基準財政需要額に算入される。理屈の上では実質3割前後の負担で大型事業を起こせる計算になり、庁舎や文化施設、道路網の整備計画とセットで合併協議を動かした。併せて合併算定替が、合併で本来は一本算定に縮むはずの普通交付税を10年間(その後5年間の激変緩和)旧団体ごとの合算で保障したため、「合併しても交付税はすぐには減らない」という安心材料が揃った。ただし特例債も借金であることに変わりはなく、交付税措置を見込んだ過大な投資が後年度負担として残った団体や、算定替の終了で交付税が段階的に縮む時期に行財政の再圧縮を迫られた団体も生じ、アメの後始末はその後の地方財政の論点になった。

期限が作った地図——駆け込み合併と破綻した協議

市町村数は平成11年(1999年)3月末の3,232から平成18年(2006年)3月末には1,821へ減り、平成22年(2010年)3月末に1,727となった。減少が集中したのは旧法の失効前後であり、経過措置の二つの期限——平成17年3月末までの知事への申請と平成18年3月末までの合併——が全国の合併協議のカレンダーを支配した。一方で、期限に追われた協議は摩擦も生んだ。新市名や庁舎の位置をめぐって合併協議会が解散した例、住民投票で合併が否決された例は各地に残り、合併の枠組みから外れて単独行を選んだ小規模町村は、その後の交付税の縮減と向き合うことになった。期限付きの誘導策が地図を塗り替える力と、その副作用の両方を示した立法例である。

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