経過措置とは、法令の制定・改正・廃止に際して、旧制度から新制度への移行を円滑にするため、適用関係や従前の状態の取扱いを定める規定をいう。
制度が変わる瞬間に、旧制度のもとで生じた権利や進行中の手続をどう扱うかを決めておかなければ、現場は混乱する。経過措置は、新旧の制度のはざまで生じる取扱いをあらかじめ定め、移行の段差をならす規定である。
経過措置は、施行日前に申請された案件に旧法と新法のどちらを適用するか、既得の資格や許可を新制度の下でどう存続させるか、といった移行期の問題を処理する。多くは附則に置かれ、施行期日の定めとセットで法令の末尾に現れる。経過措置を欠くと、改正前の手続が宙に浮いたり、既存の許可業者が突然無資格になったりするため、法制執務では本則の改正と同等の注意を要する。
附則に置かれる移行規定
経過措置は、法令の本則ではなく附則に規定されるのが通例である。附則には施行期日とともに、本則の改正に伴って必要となる移行的な取扱いがまとめて置かれる。代表的な内容は、施行日前後で適用する法令を振り分ける適用区分(「この法律の施行前にした申請については、なお従前の例による」など)、改正前に取得した許可・登録を改正後も有効とみなす規定、新制度への切替えまでの暫定的な基準である。経過措置を適切に設計するには、改正によって誰のどの法律関係が影響を受けるかを洗い出し、移行期に不利益や法的空白が生じないよう手当てする必要がある。
自治体の条例改正での実務
自治体が条例・規則を改正する際にも経過措置は不可欠である。たとえば手数料条例を改正して額を変更する場合、施行日前に受け付けた申請にどちらの額を適用するかを附則で明示しないと、窓口で混乱が生じる。指定管理者制度や許可制度を見直す場合は、既存の指定・許可の効力を改正後どう扱うかを定める。法制執務上、本則だけを直して経過措置を置き忘れると、既得権者の地位が不安定になったり遡及適用の疑義が生じたりするため、改正のたびに「移行期に困る者はいないか」を点検する必要がある。
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