学校感染症(学校において予防すべき感染症)とは、学校保健安全法施行規則第18条が定める感染症で、児童生徒等が罹患した場合の出席停止の期間の基準が種類ごとに定められているものである。重篤性と感染経路に応じて第一種から第三種に区分される。
「インフルエンザで何日休ませるか」の答えは、医師ごとの裁量ではなく省令の基準で決まっている。学校保健安全法施行規則は感染症を三つに区分し、それぞれ出席停止期間の基準を定める。第一種は感染症法の一類・二類感染症に相当する重篤なもので、治癒するまで出席停止となる。第二種は飛沫感染し児童生徒の罹患が多いもので、インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」、新型コロナウイルス感染症は2023年の五類移行に伴い第二種に位置づけられ「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」とされる。第三種はコレラなどの消化器系感染症のほか、「その他の感染症」として、学校で流行を広げるおそれがあると校長が学校医の意見を聞いて判断した感染症(溶連菌感染症や感染性胃腸炎など)を含めうる柔軟な区分である。出席停止を指示するのは校長(法第19条)、学級閉鎖などの臨時休業を決めるのは学校の設置者(法第20条)という権限の分担も押さえどころで、出席停止の期間は指導要録上の欠席日数に算入されない。
出席停止と臨時休業の手続・保健所との連絡
感染症対応の権限は二層に分かれる。罹患した(または疑いのある)個々の児童生徒の出席を止めるのは校長で、学校保健安全法第19条に基づき出席停止を指示し、期間は施行規則の基準による。学級・学年・学校単位で授業を止める臨時休業は同法第20条により学校の設置者の権限で、欠席率や学校医の意見を踏まえて教育委員会が判断する(実務では教育委員会規則で校長へ委任する例もある)。出席停止や臨時休業を行ったときは、施行令の定めにより保健所へ連絡することとされ、地域の流行状況の把握と防疫措置が学校と保健部局をまたいで接続される。保護者対応では、出席停止は欠席と扱われないこと、出席停止期間の基準は診断名によって異なることの説明が定番である。
治癒証明書を求めない運用への転換
登校再開時に医療機関の治癒証明書の提出を求める慣行が長くあったが、治癒証明書には法令上の根拠がなく、回復期の受診を強いることが医療機関と家庭の双方に負担となるため、国は感染症の種類に応じて証明書を一律には求めない運用を周知してきた。これを受けて、医師が記入する簡易な登校許可の意見書や、保護者が記入する療養報告の届出書へ切り替える教育委員会が増えている。インフルエンザのように出席停止期間が日数基準で明確な感染症では、発症日・解熱日を保護者が申告すれば足りるとする扱いが広がる一方、様式や運用は設置者ごとに異なるため、転入者や私立学校との間で取扱いの差が問い合わせの種になりやすい。学校・教育委員会・学校医・地区医師会の間で様式と適用範囲をあらかじめ合意しておくことが、流行期の混乱を防ぐ実務の備えになる。
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