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ジチテン

感染症法

読み:かんせんしょうほう

別名:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
意味

感染症法とは、感染症の予防と感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定め、感染症の発生の予防とまん延の防止を図る法律(平成10年法律第114号。正式名称「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」)をいう。

新たな感染症が広がり始めたとき、患者の入院や就業の制限を誰がどの権限で判断するのか。その答えを定めるのが感染症法である。伝染病予防法、性病予防法、エイズ予防法を統合して1998年に制定され、2007年には結核予防法も統合した。感染症を危険性に応じて一類から五類までに分類し、これに新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症の類型を加えて、類型ごとに講じうる措置の強さを段階づけている。実施主体は都道府県保健所設置市・特別区で、医師からの届出受理、積極的疫学調査、健康診断の勧告、就業制限、入院の勧告・措置、消毒等の権限を行使する。前文と総則は、ハンセン病やエイズをめぐる過去の隔離政策への反省に立ち、患者の人権を尊重し措置は必要最小限とする原則を明記しており、強い権限とその抑制の両方を備えた法律である。保健所を持たない市町村にとっても、住民への情報提供や予防接種、関係機関との連絡調整の場面でこの法律の枠組みを押さえておく必要がある。

類型ごとの措置の段階構造

感染症法の運用の骨格は、感染症の類型と講じうる措置の対応関係にある。エボラ出血熱やペストといった一類感染症には入院の勧告・措置から交通の制限まで最も強い措置が可能で、結核やSARSを含む二類感染症には入院勧告と就業制限が、コレラや腸管出血性大腸菌感染症を含む三類感染症には特定業務への就業制限が用意される。四類は動物由来感染症等の媒介動物対策、五類は発生動向の把握が中心で、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(2023年5月に五類へ移行)がここに属する。措置の発動は感染症ごとの個別判断ではなく、政令省令による類型の指定を介して行われるため、未知の感染症が現れた場合は指定感染症や新感染症の類型で暫定的に対応し、知見の蓄積に応じて位置づけを見直す構造になっている。

2022年改正自治体の事前準備

新型コロナウイルス感染症への対応の教訓から、2022年の改正で平時からの備えが大幅に制度化された。都道府県が策定する予防計画の記載事項が拡充され、保健所設置市と特別区にも予防計画の策定が義務づけられた。あわせて、都道府県等と医療機関があらかじめ病床や発熱外来の確保を約束する医療措置協定の仕組みが設けられ、公立・公的医療機関等には感染症発生時の医療提供が義務づけられた。保健所の体制整備では、健康危機に備えた人材育成と、流行時に応援に入る専門人材(IHEAT)の確保が法律上位置づけられた。これらは2024年4月に施行されており、感染症危機への対応は、流行が始まってから走りながら考えるのではなく、計画と協定で事前に固めておく段階に移っている。

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